テラーノベル
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「そういえばkanaちゃん、自分このゲームのタイトルの意味、知ってるか?」宿題も片付き、アンチ(だったはずの)少年が地面でデロデロに転がっているのを横目に、kagerou様が急に思い出したように腕組みをして、誇らしげに胸を張りました。
「タイトルの意味……? 『せぶんすますたー』のことかしら? お父様とお母様のお庭の製品名だと思っておりましたけれど」
「ちゃうちゃう! これには壮大なメインストーリーがあるんや!」
kagerou様のお目目が少年のように輝き始めました。わたくしが興味深そうに首を傾げると、待ってましたと言わんばかりに身を乗り出して語り始めます。
「ええか、この世界の伝説ではな、一つのジョブを極めただけでは『セブンスマスター』とは呼ばれんのや! 【剣士】【魔法士】【聖職者】【弓手】【暗黒騎士】【竜騎士】……そして自分も就いてる【ビーストテイマー】! これら『7つのジョブ』をすべてマスターし、7つの神具を自在に切り替えて操る者こそが、世界を救う『セブンスマスター』と呼ばれる存在になるんやで!」
「まあ……! 7つの職業をすべて極めるのですの? それは途方もない道のりですわね。それぞれの職を極めるには、どれくらいのお稽古(レベル上げ)が必要ですの?」
わたくしが素直に質問をいたしますと、kagerou様は待ってましたとばかりに饒舌さを増していきましたの!
「ええ質問や! なんとこのゲーム、一つのジョブのレベル上限が【9999】まであるんや!!」
「き、九千九百九十九……!?」
「せや! 9999や! しかもそれを7職業分やから、実質レベル70000近くまで育て上げる超弩級のやり込み要素なんや! 途中で手に入る『古代の絵巻物』に記されたストーリーを追いかけながら、世界の危機を救うために何千時間もかけて最強を目指す……これが『セブンスマスター』の男の浪漫なんや!!」
kagerou様は熱弁を振るい、「どうや!? 凄いやろ! ゾクゾクするやろ!?」と目を輝かせていらっしゃいます。
『kagerouの語りスイッチ入ったwww』
『急にゲームの宣伝大使になってて草』
『レベル上限9999を7職分は草、ニート専用ゲームかよww』
『お嬢様、質問が勉強熱心な生徒のそれなんよ』
コメント欄が盛り上がる中、わたくしは半透明のメニュー画面を見つめ、指を顎にあてて熱心に質問を重ねました。
「まあ……! ではkagerou様、その『絵巻物』の物語を最後まで読むには、九千九百九十九回もお稽古を重ねなければなりませんの? 図書館で分厚い歴史書を全巻読破するようなものですわね」
「まあ例えとしては概ね合っとる! 膨大な冒険のストーリーが詰まっとるんや!」
「そして、その7つの武器を同時に全部お持ちになるということは……背中に大きなリュックサックを背負って歩くようなものですの?」
「リュックサックて!! 装備枠のシステムの話や!! 物理で背負うわけちゃうわ!!」
わたくしの素朴な疑問に、いちいち全力でツッコミを返してくださるkagerou様。お話がとても楽しくて、わたくしは次々と質問を投げかけましたの。
「では、マーブルちゃんもレベル九千九百九十九までお育ちになったら、お庭の邸宅よりも大きくなってしまうのかしら?」
「召喚獣のサイズはそこまでデカくならんわ!! どこまでデカくする気や!!」
わたくしたちが楽しそうに(?)問答をくり返しておりますと――
それまで静かにわたくしの横に控えていた朱色の袴姿、Natuki様が静かに一歩前へお踏み出しになりました。
重厚な低音ボイスとともに、鞘からカタナをカチャリと一寸だけ覗かせると、熱弁を振るうkagerou様を冷ややかな眼光で一閃なさったのです。
「――kagerouよ。無駄口が過ぎるぞ」
「はあ!? 俺はゲームの醍醐味とストーリーを教えてあげとるんやぞ!?」
Natuki様はkagerou様の抗議など一切意に介さず、優雅に袖を翻すと、わたくしの前に深々と頭を下げて言い放ちましたの。
「世界の危機だの、ストーリーなる絵巻物の物語など……**姫には不要でござる!!!**」
「また極端なこと言い出したーーーっ!!??」
kagerou様が頭を抱えて悲鳴をあげました。
Natuki様は凛とした表情のまま、重厚なお声を広場に響かせます。
「我が姫・kana様が歩まれる道こそが、この世界の唯一絶対の物語! 過去の絵巻物などという古臭い紙切れも、九千九百九十九の過酷なお稽古も、姫の可憐なお時間を奪うものならばすべて不要! **不要でござる!!**」
「『不要 bot』に進化したーーーっ!!? 『御意』『悪即斬』に続いて『不要』かい!! お前の語彙の切り替え速度どうなっとんねん!!」
『不要でござるwwwwww』
『公式のメインストーリー全否定で草』
『Natuki「絵巻物? 不要! レベル9999? 不要!」』
『お嬢様が散歩するだけでそれが神話だからな』
『kagerouの熱弁が一瞬で「不要」切って捨てられて涙目www』
コメント欄が大爆笑と「不要! 不要!」の弾幕で大荒れになる中、Natuki様は至高の忠誠を込めてわたくしを見上げました。
「kana様。絵巻物の物語など読まずとも、貴女様がマーブル殿と歩む足跡こそが、我らにとっての至高の伝説。お気になさる必要は一切ございません」
「まあ……! Natuki様、わたくしの拙いお散歩をそんな風に仰ってくださるなんて、とってもお上手ですこと」
わたくしがふふっと可憐に微笑み、膝の上のマーブルちゃんをなでなでいたしますと、kagerou様は「もうええ……俺の熱弁を返せ……」と地面に崩れ落ち、m@rio様とRico様が「まあまあ……」と背中を叩いて慰めていらっしゃいました。
「ふふ、kagerou様、教えてくださってありがとうございます。レベル九千九百九十九は大変そうですけれど、わたくしとマーブルちゃんは、皆様と一緒にマイペースでお庭を歩いてまいりますわね」
「……くぅん(プルプル)」
世界の命運も、九千九百九十九のレベルも「不要」と一蹴した頼もしすぎる親衛隊とともに、わたくしたちの優雅でマイペースなお散歩は、本日も平和に続いていくのでした。
【セブンスマスター】レベル9999もメインストーリーも「不要でござる!」なお嬢様を見守るスレ 4【不要bot】
1:**名無しさん@ゲーマー名無し**
VRMMO『セブンスマスター』のド天然お嬢様「kana」、隠しチワワ「マーブル」、そして公式ストーリーすら一蹴する親衛隊たちを見守るスレです。
※前スレ
【セブンスマスター】爆速宿題お嬢様と悪即斬botを見守るスレ 3【親衛隊の暴走】
2:**名無しさん@ゲーマー名無し**
いちおつ。今日のkagerouの不憫さマジで過去最高だったんだがwwww
3:**名無しさん@ゲーマー名無し**
kagerouが少年漫画の主人公ばりに「7つのジョブ! レベル上限9999! 古代の絵巻物!」って熱弁してたのクソ笑ったww
めちゃくちゃ良い奴だしゲーマーの鑑だろあいつ
4:**名無しさん@ゲーマー名無し**
なお、お嬢様のリアクション
「7つの武器をリュックサックで背負うのですの?」
「マーブルちゃんが邸宅より大きくなってしまいますの?」
相変わらず質問のベクトルが独特すぎて腹痛いwwww
5:**名無しさん@ゲーマー名無し**
そこからのNatukiさんよwwwwww
「姫には不要でござる!!!」
「絵巻物? 不要! レベル9999? 不要!!」
6:**名無しさん@ゲーマー名無し**
5
公式のメインストーリーとゲームシステム全否定してて草生え散らかしたわ
「御意bot」→「悪即斬bot」→「不要bot」への進化スピード早すぎだろwww
7:**名無しさん@ゲーマー名無し**
kagerou「不要botに進化したーーーっ!!? お前の語彙の切り替え速度どうなっとんねん!!」
ツッコミのキレがもはやプロの領域
8:**名無しさん@ゲーマー名無し**
前半で突っ込んできたアンチのPochi_Fanくん、マーブルちゃんの「あざtoi威嚇(キュン♡)」一発でデロデロになってて草だった
お嬢様も「お友達にご挨拶して差し上げなさいな」とか慈悲の塊すぎる
9:**名無しさん@ゲーマー名無し**
アンチすら秒で無毒化(萌え豚化)するチワワの圧倒的暴力(可憐さ)
10:**名無しさん@ゲーマー名無し**
ところで、いつの間にか後ろでmiraが「レベル上限到達時のステータス補正値……尊さで相殺……ッ!」ってブツブツ言いながらログ解析してたの気づいた奴おる?
11:**名無しさん@ゲーマー名無し**
10
裏モデレーター兼解析班のmiraさんマジで有能なんだけど、お嬢様とマーブルちゃん見るたびに脳焼き切れて白目剥いてるの好きww
12:**名無しさん@ゲーマー名無し**
お嬢様「マイペースでお庭を歩いてまいりますわね」
親衛隊「「「「姫の御心に従う!!!」」」」
13:**名無しさん@ゲーマー名無し**
レベル9999を目指す重厚なVRMMOなのに、この一角だけ完全に「お嬢様とチワワのぽかぽかお散歩アニメ」になってるのほんと最高
14:**名無しさん@ゲーマー名無し**
明日も過保護なガチ勢たちが胃を痛めたり狂信者化したりする姿を正座待機で見届けるわwww
コメント
1件
今回もめちゃくちゃ面白かったです😂 kagerouさんの熱弁、めっちゃ良い奴でゲーマー心がにじみ出てて好きなんですけど、Natukiさんの「不要でござる!!」で全部ぶった斬る流れ、最高すぎて笑いましたw お嬢様の「リュックサックで背負うんですか?」とか「マーブルちゃんが邸宅より大きくなっちゃう?」って質問、天然すぎて可愛い…♡ コメント欄の弾幕も合わせて、このまったりした空気がたまらないです。次回も楽しみにしてます!