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黒星
30
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(お母さんに知られたら絶対に心配かけるし、大騒ぎになっちゃうだろうし……)
僕は慌てて、自分の本音を画面に入力する。
【親身になってくれてありがとうございます。でも、その…あまり大事にはしたくないというか…】
【まだ実害が出ているわけじゃないですし、できれば自分でなんとかしたいって思ってるんです。】
【親にも迷惑をかけたくないですし…それに僕、一応男ですし、やっぱり自意識過剰って可能性もあるんじゃないかなって】
それを送ると、少しの間をおいて、怜治さんから長文の返信が返ってきた。
【家族に心配をかけたくない気持ちも、大事にしたくないって思う優しい気持ちもよく分かるよ】
【でもね、さっちゃん。今は男の子だって痴漢やストーカーの被害に遭う時代だし、何よりさっちゃんはまだ未成年なんだよ?】
【だから、さっちゃんがどうしても警察に行きたくないって言うなら無理強いはしない。その代わり、俺の方で、出来る限りのことはさせてほしい】
画面を見つめたまま、僕は胸の奥がキュンと熱くなるのを感じた。
(…怜治さん…やっぱり、どこまでも優しいな……っ)
【でも、そんなの……怜治さんに迷惑じゃないですか?】
【全然迷惑なんかじゃないよ。それに俺、車持ってるから、さっちゃんの学校の帰り道とか、送ってあげることもできる。さっちゃんが不安なら、できる限り俺がそばにいるよ】
【え、あ、あの、そこまでしてもらっちゃって、本当にいいんですか……?!】
【もちろん。さっちゃんがそんな危険な目に遭うかもしれないのを、黙って見ているわけにはいかないよ。だから、ね?】
たった数行の画面越しのやり取り。
だが、それが今の僕にとっては、暗闇の中で差し込まれた唯一の救いの光のように大きな支えとなった。
(ここまで僕のために言ってくれるなんて……。さすが、大人の男の人だな。やっぱり、思い切って怜治さんに相談してよかった……)
【怜治さん、本当に、本当にありがとうございます。そこまで言ってくださるなら……お言葉に甘えさせてください】
即座にそう返事を返すと、怜治さんからもすぐに優しいトーンのメッセージが返ってきた。
【気にしないで。俺が好きでやってることだからさ】
そのどこまでも深く、真摯な姿勢に、僕の凍りついていた心は完全に解きほぐされていった。
(…これでもう、一人で怯える必要ないんだ)
そんな安堵感に包まれながら、僕はスマホをぎゅっと胸に抱きしめ
怜治さんという存在への依存度を、自覚なしに深めていった。