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🖤💙*〜 夜明け前、刹那の君〜
束の間の帰国
朝から晩まで、みっちりと詰まったスケジュール
睡眠時間ですら、あってないようなもので、合間に仮眠をとるような忙しさだ
僅かながらの休息時間のために帰った、深夜のホテルの部屋
シャワーを手早く浴びて、楽な部屋着に着替える
ほっと一息ついたところで、部屋のベルが鳴る
念のために覗き穴から相手を確認すれば、最後の現場を出てすぐに、連絡を入れたその人が立っている
ぐわっと熱い感情が迫り上がってくる
震える手でドアを開ける
「よ、めめ」
ちょっと泣きそうな笑顔がそこにはあって
気づけば、少し乱暴に彼の腕を取って、部屋に引き込んでいた
鍵を閉めて、部屋の中まで引っ張ってきて、強く抱きしめる
「っ!ちょ、めめ……くるしっ」
「翔太っ………」
「痛いってば、、、、蓮」
名前を呼ばれた
これは了承だ、今この刹那だけの
「ごめん、無理、止まれない」
「んっう」
後頭部と腰に手をやり、引き寄せられるだけ引き寄せて、衝動のままに唇を重ねて、舌を割り入れる
「んっ、あぅ、れ、ん……」
「ん、しょうた、はぁ、あいたかった…」
「んぅ、お、れも、んぁ、あっ……」
どれくらいの時間そうしてたかなんて、時間感覚も今はバグっている
一瞬のような、永遠のような
甘くて切なくて懐かしい感覚に、渇きが潤っていく
ようやく激流のような衝動が少し落ち着いて、顔を離す
「んっ、はぁ………ば、か、はぁ……はげしすぎ、だ、はぁ……」
上がる息を抑えながら、眉を下げて笑う愛しい人
右耳には幅広のフープピアス
すっと左頬が撫でられる
その指が左耳につけたピアスをなぞってから、髪を漉く
「髪、のびたな。長いのも似合ってる」
「うん……翔太くんは、また、綺麗になった」
「ふふ、お前の視線を縫い止めておかないと、いけないからな」
「余所見なんて、できるわけないのに」
「わからないじゃん……んぅ」
込み上げる恋情が、うまく言葉に乗らなくて、また口付けをする
そんな俺のことを分かってか、優しい手が背中を撫でる
「こっち、来て」
「ん?」
ベッドに腰掛けて、翔太くんを膝に乗せて抱きしめる
「忙しいだろ?体は大丈夫か?」
「大丈夫」
「無理するなよ?横にいてやるから、少しでもちゃんと休め」
「やだ、1秒だって惜しいのに」
「でも、ろくに寝てないだろ?」
「向こうでの健康的な生活のおかげで、元気の貯金はたくさんあるもん」
「だけど、んぅ」
いつまでも分かってくれない口を塞ぐ
心配してくれるのは嬉しいけど、今の俺に必要なのは、物理的な休息よりも、精神的な心の潤いなのだ
「いいから、お願いだから。少しでも長く翔太くんを感じたいの」
「…………そっか、わかった」
首に両手が回る
俺が大好きな優しい微笑み
「名前、呼んで」
「ん、蓮」
「翔太、愛してる」
「ん………」
ふいに、俺を見つめる澄んだ煌めきから、一筋、光が溢れ落ちる
「れん……あいたかった………」
「ん、俺も、あいたかった……」
恋慕の詰まった一雫に口付けて、今度はゆっくりと唇を重ねる
お互いの存在を確かめるように、時間をかけて
抱きしめあって、口付けあって、見つめあって、言葉を交わしあって
2人きり、許された時間は一刻ほど
誰も知らない
飽きるほどに繰り返す
夜明け前の刹那、君を刻み込む
「じゃ、頑張ろうな、めめ」
「うん、ありがとう、しょっぴー」
恋人の時間はもう終わり
空はまだ暁、帰る君の背中を見送る
コメント
7件

絶対書きたいだろうなと思ってたら上がってた。*のふたりは一度別れた二人だよね?やはり本家は濃厚

🖤が帰国するというニュースを見た瞬間に思い描かれた光景がkaedeさんの綺麗な文章で映像化されて、切なさと愛しさとが溢れてキュンというよりギューっが止まりません🥹 ありがとうございました🖤💙✨
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夢花𓂃𓂂ꕤ*.゚