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リビングの一角で、どぬとヒロくんは静かにお絵かきをしていた。ゆあんくんの看病で忙しそうな大人組の様子を見て、二人は邪魔にならないようにと、普段よりもおとなしくしている。
しかし、どぬは、隣にいるヒロくんの様子が少しおかしいことに気づいていた。ヒロくんは熱が下がったばかりのはずなのに、顔色はまだ少し青白い。そして、手元もおぼつかないのか、クレヨンを握る力が弱々しい。
(ヒロくん、なんか…しんどそう…)
どぬは心配になった。ヒロくんは時折、小さな咳をすることもあったが、ゆあんくんがしんどそうにしているのを見て、何も言わずに我慢しているようだった。ヒロくんの幼い瞳には、ゆあんくんへの心配と、自分の不調を言い出せない葛藤が入り混じっているように見えた。
「ヒロくん…大丈夫…?」
どぬが小さな声で問いかけると、ヒロくんはビクッと体を震わせ、慌てて笑顔を作った。
「だ、大丈夫!元気だよ!」
そう言いながらも、その声はか細く、笑顔もどこか引きつっている。その様子に、どぬは確信した。ヒロくんは、まだ本調子ではない。むしろ、ぶり返してしまっているのかもしれない。
どぬは、意を決して立ち上がると、ゆあんくんの看病で忙しそうにしているえとさんの元へ向かった。
「あの…えとさん…」
どぬがえとさんの服の裾を小さく引っ張った。えとさんが振り返ると、どぬは心配そうな顔でヒロくんの方を指差した。
「ヒロくん…なんか、またしんどそう…」
どぬの言葉に、えとさんはハッとヒロくんの方を見る。確かに、言われてみればヒロくんの顔色がまた悪くなっているように見えた。
「ヒロくん!?」
えとさんの声に、るなちゃんやじゃっぴも気づき、再びヒロくんの元へと駆け寄る。どぬの小さな気づきが、新たな問題の発見へと繋がったのだった。からぴちシェアハウスの夏祭りの準備は、思わぬ展開を迎えることになった。