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かつて、世界は“神兵”と呼ばれる武具によって支配されていた。
それぞれの神兵は、自らに相応しき主を選び、契約を結ぶ。
そして今、その神兵の一つ《紅蒼神剣(こうそうしんけん)》が、一人の少年に選ばれた。
山の静寂を裂くように、少女の悲鳴が響いた。
少女 きゃあああああああ!!!!
それは一瞬のことだった。
悲鳴の方に目を向けると、黒い影が複数少女に襲いかかっていた。
少女 た、たすけっ…
神楽 …面倒なことに巻き込まれたな
そう呟いた剣士、神楽周助は無言で草を踏みしめて駆け出した。
右手には、祖父から譲り受けた少し傷が付いている木刀。
しかし____
ガキィィィィィン
影の内の1人を打ち払った瞬間、空気が爆ぜた
地に落ちた黒影がまるで煙のように消えてゆく
少女 な、なんで!?なんで木刀一本で…
少女は震えながら見上げる。
その視線の先、周助の背後に紅と蒼の光 が交差していた。
神楽 …なんだ…これは…
空中に浮かび上がる二刀流の剣。
片方は灼熱のように燃え、片方は凍てつくように静かだ。
??? 汝に問う。名を名乗れ。紅蒼神剣(こうそうしんけん)に選ばれし者よ。
神楽 質問の順番が逆だ。こちら側から問う。お前は何者だ?名を名乗れ。
??? 汝に力を与える存在だ。それ以上の説明は不要選ばれし者よ、契約を受け入れるか?
少女の目が見開く。
少女 ま、まって!契約なんて軽々しちゃダメ!神兵は___!
神楽 …うるさい、誰に何を言われようと、あれが誰かを傷付けるように使われるなら俺が握るまでだ。
少女 ッ…!
その瞬間、紅蒼の双剣が閃き、周助の両手に収まる。
紅の剣:「赫焔ノ剣(かくえんのけん)」
蒼の剣:「凍氷ノ剣(いひょうのけん)」
??? いいだろう。契約成立。今より、汝は紅蒼神剣の主となる。神楽周助。
神楽 か、かっこいい…右手に紅。左手に蒼。
その時、処理兵が襲来した。
突如、空が割れ地を這うような機械音が響き渡った。
処理兵 対象確認。紅蒼神剣の主、神楽周助。排除を開始する。
現れたのは、人型とは思えぬ鋼の兵士。
その目には赤いラインが走り、剣を構える周助を認識している。
少女 ダメ!そいつは、“処理兵”……初期接触で殺される!
神楽 その説明…もっと早くしてくれ…
処理兵 紅蒼反応、安定。力の展開、可能
神楽 じゃあ、試し斬りには丁度いいってわけだな
少女 本気でやるつもり!? 死ぬよ!?
神楽 だったら、見てろ
「紅刃、解放――赫式・焔閃(えんせん)」
振り抜いた紅の剣から、爆炎が渦巻くように敵へと叩きつけられる。
黒装兵が炎に飲まれ、軋みながら崩れ落ちる。
処理兵 応答……停止
神楽 …やっぱり、“殺す気”でこなきゃ、俺は斬れないよ
少女 …なんて恐ろしいんでしょう…
神楽周助は紅蒼神剣の力を振るい、黒装兵を一撃で撃破した。
だが、彼の戦いはまだ始まったばかりだった。
その夜、空気が突如として張りつめた。
森に吹いた冷気が凍てつくような感覚を運び、地面を薄く白く染めていく。
ゴゴゴゴゴ……
氷のような気配が地を這い、空間がひび割れる。
その裂け目から一人の男が現れる。
白銀の鎧。蒼い剣。
その存在は、明らかに異質だった。
??? 神楽周助…紅と蒼、両方を持つ者…貴様がそうか
神楽 …誰だ、お前は
氷壁 名乗る価値はないが…この名だけは覚えておけ。“氷壁(ひょうへき)”
少女 まさか…蒼氷の神兵保持者…!? まずい、蒼刃の元主よ!
神楽 蒼刃って…こっちか(左手を見る)
氷壁 それは私の剣と一緒だな…だがそれは返してもらい、私の剣の養分となればいい!命ごとな!!
その瞬間、氷壁が地を蹴った。
ー続くー