テラーノベル
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涼太❤️『ねぇ小さい時の翔太の夢覚えてる?』
眠気眼を擦りながら大きな欠伸をすると突然子供の頃の夢を尋ねられて記憶の奥に意識を沈めた。
〝夢?〟
アイドルになりたいとか?まさか涼太のお嫁さんだなんて言ってないよな……恥ずかしい///
それにしても腰が痛いし、疲れて眠い。頭も回らない。子供の頃の夢は確か…
翔太💙『あっ警察官!』
涼太❤️『ふふっ違うよ。そっちの夢じゃなくて、翔太が俺といる時よく寝ちゃってその時よく見ていた〝夢〟の話。興奮したように俺に教えてくれた』
翔太💙『ん?……何だろよく覚えてない…』
小さい時に見た夢をあなたは今も覚えていますか?
まただ…不気味なあの声が聞こえる。
隣で疲れた体をベッドに投げ出して、いつの間にか規則正しい寝息を立て始めた涼太。その唇に、そっとキスをした。 ぷっくりと柔らかい唇はふかふかで、触れるだけで安心する。喰むようにもう一度キスをして胸に頭を預けて抱き 瞼を閉じると、体がふわふわと軽くなって、沈んでいく。
意識がほどけて、夢の中へとまた堕ちていった。
涼太❤️『ねぇ翔ちゃんママ、また翔ちゃん寝ちゃったよ』
〝もうすぐご飯だから、涼太くん起こしてくれる?〟
階段を上がる小さな足音。トントンと、キッチンで夕飯を作る音も聞こえる。
涼太❤️『翔ちゃん、ご飯だって!起きろぉ〜 キスしちゃうぞ………チュッ………チューッ』
えっ……え〜〜っ。
見たところ幼稚園生くらいの涼太が、俺の唇にそっとキスをした。
なかなか起きないのをいいことに、もう一度。
長く触れ合った唇は、チュッと可愛らしい音を立てて離れる。
俺はにっこり笑って、柔らかい表情で涼太を見つめ、 〝良い夢見ちゃった〟と呟いて首に腕を回し、飛びつく。
〝涼ちゃん明日も会えるよね?〟 そう言って、頬にキスをした。
いつもと違ったのは、俺は俺じゃないって事。俯瞰して俺と涼太を見ている。
この頃から涼太は俺のこと、好きだったんだろうか。
まさかね……。
それにしても、ここどこだろう。俺の家じゃない。
外を見ると同じような建物が並んでいて、すぐにキャンプ場だと分かった。 そうだ、夏になると毎年、両家で来ていた。
食事を終えた二人は手を繋ぎ、手持ち花火の入ったビニール袋をカサカサ鳴らしながら歩き出す。
やがて、キャンプ場の奥にある小さな丘に出た。
見晴らしのいい丘に立つと、夕陽に染まったテントが一望できて、風が頬を撫でる。
涼太❤️『ねぇ、さっき言ってた〝良い夢〟ってなぁに?』
翔太💙『ん?秘密///言ったら叶わない気がする』
〝そんなことないよ〟なんて適当なことを言う涼太にクスッと笑うと、
〝今笑った?〟と不思議そうに首を傾げられた。〝笑ってないよ!〟とちっちゃい俺が答えた。
え……俺の声、聞こえてる?
翔太💙『じゃあ、涼ちゃんにだけ教えてあげる』
二人でベンチに腰掛けると、ちっこい俺は辺りを確認してから、涼太の耳に手を当てて囁いた。
翔太💙『俺たち、ケッコンするんだ』
涼太❤️『ケッコン? ケッコンってなぁに?』
翔太💙『涼ちゃんバカだな///ずっと一緒ってこと。パパママみたいに、ずっとラブラブってこと』
ちっちゃい俺の夢は、 涼太のパパにもママにも似た顔の男の人と、 色白で、俺と同じ口元にホクロのある男の人が一緒に暮らしてる夢だという。
翔太💙『きっとそれが大人になった俺たちだよ?正夢になるかな?』
涼太❤️『うん、きっとなるよ///だって翔ちゃん俺のこと大好きでしょ?俺も大好き』
夕陽の中で笑う二人は、やけに眩しくて、胸がぎゅっと締め付けられた。
涼太❤️『……翔太?』
呼ばれて、はっと目を開ける。 目の前には、今の涼太。
翔太💙『……今、夢、思い出した』
涼太は少し驚いたように目を瞬かせてから、ゆっくり笑った。
涼太❤️『どんな夢?』
俺は答えないまま、涼太の胸に顔を埋めた。
夢の続きみたいに、ドキドキとうるさい鼓動の音がすぐそばで鳴っていた。大事そうに後頭部に添えられた手が優しく撫でた。
〝ねぇ教えてよ?〟夢の中身を知ってる筈の涼太は恥ずかしがる俺を楽しむように意地悪く笑った。〝ねっ正夢になっただろう?〟そう言って重ねた唇は、夢の続きに引き戻されるみたいに、夢と現実の境目が分からなくなるほど深く、やさしく塞いだ。
胸の奥がじんわり熱くなって、俺は無意識に涼太の服の裾を掴む。近すぎて、鼓動も呼吸も溶け合って、世界に二人しかいないみたいだった。
離れた瞬間、名残惜しさに思わず瞬きを忘れて、涼太を見上げる。何も言えない俺の額に、涼太はコツンと額を預けて、困ったみたいに笑った。
それだけで、また胸がいっぱいになって、夢から覚めたはずなのに、まだ夢の中にいる気がした。
そのとき、胸の奥をくすぐるようにして、 小さい頃に見た夢の記憶が、断片的に甦る。
涼太とは小中学校は違う学校に通うことになるとママから聞かされた俺は、泣きながら嫌だと言って随分とママを困らせた。当たり前に毎日会えていた涼太と会えなくなるなんて、小さかった俺には理解できなかった。
腹を立ててクローゼットに潜り込んだ俺は、いつの間にかそこで寝てしまって、そこで初めて“大人になった頃の夢”を見たんだ。その後何度も見たはずの夢を、今まですっかり忘れてしまっていた。
確か、一緒に暮らし始めた二人が仲睦まじく、二人でご飯を作ったり、一つのベッドで寝床を共にしたりと、ただそれだけなのに、どうしてか胸が満たされる夢だった。
幸せそうに暮らす二人にほっこりと胸が温かくなり、不安になるとまたその夢の続きが見たくなって、クローゼットに毛布を抱えて行き寝ることもあった。夢から目覚める時には、決まって聞こえてきた言葉があった。
〝いつでも戻っておいで、夢の世界へ……君に少しだけの勇気と希望を与えてあげる……運命を変えるのはいつだって自分自身〟
その声の主は、紛れもなく俺の声だった。
そして涼太の隣で寝転ぶ俺は、あの頃の夢の中の続きを、生きている。
涼太❤️『明日も会える?って、聞かないの?』
翔太💙『聞かないよ!だって毎日会えるだろう///』
その代わり毎日聞くよ〝俺の事愛してる?〟って
涼太❤️『ねぇ翔太またスマホ忘れてる』
翔太💙『ふふっ//ありがとう』
ねぇ気付いてる涼太…玄関までお見送りして欲しくて毎日何かしら忘れ物をする俺は玄関ホールに座ってわざとゆっくりと靴を履く。
〝全くもう〟と言ってコツンとおでこを弾いた涼太にキスして欲しくて上目遣いで逆さまの涼太を見上げると〝キスしづらい〟と言ってお決まりの悪態を付いた、彼の首にぶら下がる。
コレが毎日の俺のルーティン。
あれからパッタリ変な夢は見なくなった。幸せ絶頂期の2人は一緒に住み始めて2ヶ月になる。幸せすぎて怖いくらいだ。
不思議な夢の話を亮平に話すと、興味深げに聞いていたけど〝まっ所詮夢は夢〟だなんて言って考えても答えの出ない事に頭を使う気はないらしい。
メンバーとの打合せに少しだけ早く家を出て、河川敷を散歩した。
よく晴れた雲ひとつない冬晴れの空が、土手の草を掴んで登ったあの日を思い起こさせる。あの頃あんなに高く聳り立つ壁のように見えていた景色も大人になった今は大した事なかった。
チャポチャポと水筒の水を鳴らして駆け寄ってきた涼太は息が上がっている。
涼太❤️『歩くの早すぎ』
翔太💙『土手の上まで上がるの競争する?』
涼太❤️『絶対俺不利だろ』
翔太💙『ふふっ負けた方がずうっとお風呂掃除当番なんてどう?』
〝姑息な真似はやめなさい〟と言っておでこを弾かれた。そろそろおでこに穴が開きそうと言った俺を嬉しそうにお腹を抱えて笑う涼太は可愛かった。
誰もいない河川敷に小さなシートを広げてサンドウィッチを笑頬張る朝、辺りを見回し、こっそり手を繋いだ2人は唇を重ねた。
〝また明日もここに来よう?〟
〝うん〟
朝焼けに燃ゆる河川敷は、あの日、丘の上で見た夕焼けみたいに、今日も世界はやけに綺麗で。
夢だと思っていた景色の中で、俺たちは今日も笑っている。
明日も君に会えるなら ♡ 完♡→おまけ話へ
コメント
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やっぱりこのエモさはゆり組ゆえ🥹🥹途中で入って来る声の主はめめ🖤かと思ったが違ったか🤣🤣🤣