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つきののお姉さん感ぱない 好き おれのお姉ちゃんになって欲しい
_死神 side
『…、ん”ぁ…』
重たい瞼を擦り、鬱陶しい前髪をかきあげる。
あぁ、よく寝た…。
何か悪い、懐かしい夢を見た気がする。
誰かに大声で怒鳴りつけられた時のような、頭の痛さが脳に響く。
眼帯で隠された左目を瞑り、集中力を高めるかのようにふーっと息を深く吐いた。
無駄なことを考えないように、思い出さないように。
だけど脳の奥では、幼い頃に両親に叱責された記憶が蘇ってくる。
嫌な記憶だけが、しつこい焦げ目のようにあたしの脳裏にこびりついて離れない。
『はー…、』
深いため息を吐き、布団から起き上がる。
重たい体を動かしていつもの服を着用後に、上からシアーシャツを重ねる。
ぐっと伸びをしてから、本部内を散歩しようと部屋を出ると、廊下が黒くくすんでいた。
またあいつのせいか。
『おい虚、またやってんのかお前』
虚「あはは〜〜…、ごめんなさ〜い助けて〜…、w」
能力の暴発により、コントロールの聞かない能力という名の暗黒に腕を突っ込む。
その中に虚の体があるはずなので、まさぐり探す。
まぁそこに人間らしい体温を感じたため、それを引っ張り出す。
そのブラックホールと言える黒い穴からずるずると引き出されるように出てきた虚は、顔の前で手を合わせごめんなさいとポーズを取る。
こいつの謝罪というのは、大抵めちゃめちゃ軽い。
『なんでもいーわ、じゃあな』
廊下を通り抜けて様々な施設の横を通る。
訓練場の横を通り抜ければ、中で鍛錬している構成員の声が聞こえてくる。
広間の横を通り抜ければ、中で会話をしている構成員の声が聞こえてくる。
なんとも平和な日常に落ち着く心と、何か面白いことは起きないかという期待。
そんな二つの感情が入り混じってなんとも形状のしがたい気持ちに包まれる。
甲「あ、こんにちは」
『おう』
階段の曲がり角で甲鳥に出会う。
手には大量の小瓶が抱えられていて、今にもよろけそうになっていた。
『半分ちょーだい、手伝ったるわ』
甲「いやいや良いですよ」
良いから渡せ、と言って甲鳥から小瓶を受け取り、そのまま階段を下る。
どうせまた羅生にパシらされたんだろーなー、可哀想にな。
と思いながらも、しかたなさを感じる。
彼女、甲鳥の能力は未だ不安定で、確定的な予知は出来ない。
だからか、戦場に出ることはないし、完全に雑用を押し付けられている。
あたしでもそうするし。
甲「…あっ、ここで大丈夫です、ここに置いててください」
『ん』
甲「ありがとうございました」
甲鳥がぺこっと深くお辞儀をして、そのまま看医室に入っていく。
ふわりと揺れた深い真緑が、ここいらでは見かけない色すぎて目に毒だ。
看医室から離れるにつれて段々と空気が冷えていき、だけどその空気とは反対の、話し声が2人分聞こえてくる。
しかも内容は結構重要そうだった。
不「じゃいこ!」
彩「待って〜、お酒足りへんーー!!」
不「いくよ!!」
うちでもかなりの実力派二人組、ツインランス。
そんな彼女たちが出陣する瞬間だった。
『頑張れよ』
彼女たちが行くのは基本的に、難易度が高かったり、危険度が物凄く高かったりする任務ばかりなのだ。
だから命だけは守ってこいよ、という意味で一声かける。
彩「珍しいこともあるんやn…、ですね」
不「頑張ってきま〜っす!」
ぶんぶんと手を振る2人を見送り、あたしは散策に戻る。
…さて、久しぶりに構成員に稽古でも付けてやるか。
冷気を纏ってしまった自分の左腕を抱えながら、近場の訓練場まで歩き、重たい鉄製の扉をこじ開けた。