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第二話 能力の目覚めと、少女の夢

「なあ、リナ」

「んー? なに?」

遺跡の出口近く。

崩れた柱に腰かけながら、俺は隣の少女――リナに問いかけた。

「この世界、今どうなってる?」

リナはきょとんとした顔でこちらを見てから、空を指さした。

「んー、どうって……空は青いし、風は気持ちいいし。私的にはまあまあって感じかな?」

「……そっか」

3000万年も経ってるとは思えない、のどかな答えだ。

俺は目を閉じて、深く息を吸い込む。

昔の世界は、どうだったっけな――争い、絶望、裏切り、そして……封印。

「でさ、夢希くんって、ほんとに遺跡で寝てたの?」

「嘘をつく理由がない」

「でも、普通ならカビてるでしょ!?」

「そうならないように、封印されてた。……いろいろあってな」

「へぇー。そっか、すごいね。まるでおとぎ話みたい」

俺はリナの笑顔を見ながら、小さくため息をついた。

この子にはまだ、何も話す気になれない。

だけど……俺の能力は、今も生きてるのか?

ふと、崩れた石碑の一部に目をやった。

長い時間をかけて風化し、文字もかすれている。

俺は手をかざす。

「――覆せ」

次の瞬間、空気が震えた。

石碑のひび割れが逆流し、砕けた欠片が宙を舞い、まるで映像を巻き戻すかのように――元の形に戻った。

「うわっ!? なにこれ!?」

リナが驚いて後ずさる。

俺は静かに言った。

「……確認だ。ただの試運転」

「試運転でこんなことする!?」

リナは目を見開いて俺を見つめていたが、すぐに目を輝かせて言った。

「すごい!すごすぎるよ、それ!ねえ、他にもなんかできるの?」

「さあな。使ってなかったから……俺にもわからない」

俺は手のひらを見つめた。

3000万年の眠りの果てでも、この力は衰えていない。

けど――俺はまだ、どう使うべきなのかを決めていない。

「……リナ」

「ん?」

「お前は、なんでこんな場所に来るんだ? 誰もいないのに」

すると、リナはちょっとはにかんで言った。

「私ね、世界を旅してみたいの。誰も知らない景色とか、遺跡とか……そういうのを見つけたいの」

「旅……」

「うん!この世界って広いのに、みんな同じ景色しか見ようとしないんだもん。私は、誰も知らない“面白い”を見つけたいの!」

その言葉に、少しだけ胸が動いた。

誰も知らないものを、知りたい――か。

「……なら、俺も一緒に行っていいか?」

「えっ、ほんとに!?」

「条件がある。俺に、この時代を案内してくれ」

「うん、まかせて!――えへへ、楽しみが一つ増えた♪」

目の前の少女は、無邪気なまま笑っていた。

この世界のことも、俺のことも、何も知らないくせに――それでも、俺の前に立ってくれている。

この旅が、俺の何を“覆す”のかは、まだわからないけど。

……少しだけ、先が気になってきた。

3000万年間封印されていたので、新たな世界を楽しもうと思います

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