私
、藤宮理沙子は現在進行形で困っている。
それはもう途轍もなく困っていて、誰かに相談したいくらいだったりするのだが……生憎相談できる相手がいない。
というか、いたらこんな状況に陥っていないだろう。
だって、今私の目の前にいる人は――
「あのぉ~……藤宮さん? どうしてそんなに俺のことを睨んでくるんですかね?」
「いえ別に、なんでもありませんけど」
そう言いながら、私は視線だけで射殺す勢いで目の前の男を見据える。
なんで私がこんなにも彼を敵視しているのかと言えば、それは彼が私にとって天敵の部類に入るからだと思います。
彼のことを一言で表すならば、「ウザい」という言葉が一番適切だと言えるでしょう。
彼と初めて出会った時、彼はまだ子供だった私に向かってこう言い放ちました。
「お前が『お姉ちゃん』か? ふーん……なんかパッとしねェ女だなァ?」
初対面でなんて失礼なことを言い出すんだろうと思ったと同時に、その言葉に腹を立てた当時の私は彼に掴みかかってしまいました。
そこからはもう泥沼の大喧嘩です。殴り合い蹴り合いの大乱闘で、周りの大人達が止めに入ってくれなければきっとどちらかが死んでいたかもしれません。
それ以来、私たちは犬猿の仲として周囲から認知されるようになりました。
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