テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
それからというもの、鷹宮は本当によく現れた。
昇降口で靴を履き替えているとき。
自販機で飲み物を買おうとしたとき。
廊下の角で、曲がった瞬間。
「またお前かよ」
「偶然だろ」
そう言いながら、鷹宮は必ず一歩近い。
距離感が近すぎる。
他の先輩とは違う。
「ピアス、今日も付けてんのな」
「外す理由ねーし」
「生活指導に見つかったら面倒だぞ」
「……心配してんの?」
つい出た言葉に、相馬は内心で舌打ちした。
鷹宮は一瞬だけ目を丸くして、それから笑う。
「どう見える?」
「知らねー」
逃げるように歩き出すと、後ろから声。
「一年」
「……なんだよ」
「名前、まだ聞いてねー」
足が止まる。
でも振り向かない。
「言わねー」
「じゃあ“一年”な」
その呼び方が、
苗字より、悪口より、妙に近くて。
胸の奥が、ざわついた。
(なんでだよ。ただの先輩だろ)
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!