テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
それからというもの、鷹宮は本当によく現れた。
昇降口で靴を履き替えているとき。
自販機で飲み物を買おうとしたとき。
廊下の角で、曲がった瞬間。
「またお前かよ」
「偶然だろ」
そう言いながら、鷹宮は必ず一歩近い。
距離感が近すぎる。
他の先輩とは違う。
「ピアス、今日も付けてんのな」
「外す理由ねーし」
「生活指導に見つかったら面倒だぞ」
「……心配してんの?」
つい出た言葉に、相馬は内心で舌打ちした。
鷹宮は一瞬だけ目を丸くして、それから笑う。
「どう見える?」
「知らねー」
逃げるように歩き出すと、後ろから声。
「一年」
「……なんだよ」
「名前、まだ聞いてねー」
足が止まる。
でも振り向かない。
「言わねー」
「じゃあ“一年”な」
その呼び方が、
苗字より、悪口より、妙に近くて。
胸の奥が、ざわついた。
(なんでだよ。ただの先輩だろ)