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「反省文。先輩監督付きな」
生活指導の一言で決まったその時間は、
相馬にとって地獄だった。
放課後の教室。
カーテン越しの夕日が、机をオレンジ色に染めている。
二人きり。
椅子を引く音が、やけに響く。
「書け」
「言われなくても書く」
ペンを走らせるが、視線を感じて落ち着かない。
鷹宮は机に腰かけて、じっと見ていた。
「なあ」
「何」
「喧嘩、好きだろ」
一瞬、ペンが止まる。
「……別に」
「嘘」
即答だった。
「嫌いなら、あんな目しねー」
相馬は舌打ちし、視線を逸らす。
「……うるせ」
「図星?」
鷹宮はからかうような声を出すけど、
目は全然笑っていない。
「無理すんなよ」
その一言で、胸が詰まった。
「は?」
「強がる癖」
鷹宮は少し身を屈めて、低い声で続ける。
「弱いの隠すために、噛みつくタイプだろ」
――やめろ。
心の中で叫んだのに、声は出なかった。
「別に悪いって言ってねー」
「……」
「弱いって、自覚してるやつの方が強ぇから」
相馬は完全に黙った。
こんなこと、誰にも言われたことがない。
(なんでこの人、こんなとこまで踏み込むんだよ)
書きかけの反省文が、滲んで見えた。