テラーノベル
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いつもの、薄暗い撮影部屋。れてんはパイプ椅子に浅く腰掛け、気怠そうにスマホを眺めていた。今日の企画内容は知らされていない。隣でカメラを回し始めたジャダムが、隠しきれないニヤけ面で口を開く。
「……というわけでね、今日は特別ゲストに来てもらってます。れてん、お前最近、ちょっと態度デカいからさ。今日はしっかり『可愛がって』もらおうと思って」
「は? 何それ。聞いてないんだけど」
れてんが眉をひそめた瞬間、ドアが勢いよく開いた。
入ってきたのは、タイトなタンクトップに身を包んだ、見るからにエネルギーの塊のような大男二人。彼らは部屋に入るなり、れてんの両脇を固めるように陣取った。
「あら〜! この子がれてんちゃん? 写真よりずっと可愛いじゃない!」
耳元で吹きかけられる熱い吐息と、鼻をつく濃い香水の匂い。れてんの顔が露骨に引きつる。
「ちょ、待って。距離近くない……?」
「いいじゃないの、減るもんじゃないし! さあ、パーティーの始まりよ!」
男たちの太い腕が、れてんの細い肩をがっしりと抱き込む。逃げようとするが、万力のような力で固定され、椅子から立ち上がることすらできない。
「ジャダム、これマジで言ってんの? 止めろって、おい!」
助けを求める視線を送るが、カメラを構えるジャダムは腹を抱えて笑っている。
「いやー、れてん。お前、顔真っ赤だぞ? 視聴者もこういう『弱ってるれてん』が見たいんだよ。な、もっと行っちゃってください!」
「任せなさい、この子をトロトロにしてあげるから」
一人の男が、れてんの顎を強引に持ち上げた。もう一人が、彼の首筋を大きな手でなぞり、指先でいたずらに弄ぶ。
「やめ……っ、くすぐったい……!」
普段のクールな毒舌はどこへやら、れてんの口から漏れるのは、情けないほどに上ずった声。身をよじって抵抗するたびに、男たちの筋肉質な体が密着し、彼はさらに逃げ場を失っていく。
「あはは! れてん、お前そんな声出るんだ? 最高じゃん」
ジャダムの冷酷な笑い声が部屋に響く。れてんは視線を泳がせ、なんとかこの地獄から脱出しようとするが、男たちの執拗な「可愛がり」は止まらない。
指先が耳たぶを甘噛みし、反対側からは太い腕が脇腹を執拗に攻める。れてんの瞳にはうっすらと涙が浮かび、呼吸が乱れ始める。
「もう……無理……。ジャダム、これ、企画終了……! 早く、ストップ……っ」
力なく訴える彼の声は、快楽と恐怖、そして圧倒的な敗北感に染まっていた。そんな彼を嘲笑うかのように、ジャダムはカメラのズームを最大にし、絶望に染まったれてんの表情を克明に記録し続けるのだった。
「……終わんねーよ。今日は朝までコースだからな」
れてんの絶望的な悲鳴が、密室の中に虚しく消えていった。
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