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「それは、カルダの木の根の蛇は大昔から幾度となく、何百年に一度、シャーマンたちの神聖な儀式で、少し起きるのです。そして、尾を貪る。そのために、丸い形が小さくなってきました。本来は小さくなるだけで実害はありません。小さくなっても無くなることがないのです。何故なら夜と朝の神でもあるのです。けれど、今ではカルダがその神の力を悪用しようと、暗黒の生贄の儀式をして小さくしています」
パチリッと、みんなの囲んだ焚き火が鳴った。
「カルダの木は私たちの仮説のウロボロスの大樹のことと確証が持てたわ。プネウマ的だったカルダの木を、カルダが生贄を捧げる儀式によって原初の混沌にしてしまっている。そして、覚醒者とは赤羽さんのことね……ここ南米ではなくて日本にいたというわけね。何としてもこれ以上の生贄を捧げることを阻止しないと」
霧画が呉林に囁いた。
「う、うん。でも、どうやって何とかしようかしら」
呉林は考える。
「安心して下され、わしらも共に戦いますぞ。この村の平和のためと、わしらの朝日のために、そして生贄という犠牲者をもう出さないために、ここにいる蒼穹の戦士が百人います……」
長老の力強い言葉に呉林が涙を浮かべ、
「私たちと戦ってくれるの。ありがとう」
「じゃが、まずは敵をよく知らねば。それには斥候を誰か決めねばな。わしが行こうかな?」
ディオの言葉に長老が皺を増やして戦き、呉林の手を恐る恐る掴む。
「それは無理ですじゃ。近づいたものは誰一人と戻っては来ませんじゃ」
バリエも震え上がり、
「それは危険です!」
「大丈夫。赤羽さんがいるもの。私と赤羽さんとで行きましょ」
「へ……?」
呉林は私の袖を掴む。私は呉林とだと不思議とまったく恐怖しない自分に気が付いた。
「じゃあ、早速明日……行きましょ」
「やっぱり、俺か。任せてくれ」
私は森を1日半も歩くことは気にならなかった。ゴルフ場を思い出す。
「では、まずここに泊めてもらうとして、渡部くんと角田くんはわしの特訓をまだ受けた方が良いぞ」
「えー!」
渡部が猛獣の肉片手に青い顔をした。
「俺はやるぞ。ここまで来たんだ!チャンバラ大歓迎だぜ。現実に帰って美人の姉ちゃんと結婚したい!」
角田は果実酒をがぶ飲みしてふっきれる。
「あ、ちょっと待って……。何か来るわ?」
呉林が警戒心の張られた声を出した。