テラーノベル
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爆音
隔壁の破片が、
嵐みたいに吹き荒れる。
モトキは咄嗟に身を伏せた。
ヒロトが腕で顔を庇う。
衝撃で研究室全体が揺れた。
そして
煙の奥から、
“それ”は現れた。
巨大だった。
天井すれすれの巨体。
白い装甲。
無数の黒い管。
人型――に見える。
だが、
人間の形を真似ただけの何かだった。
胸部中央。
そこだけ装甲が割れていて、
巨大な“目”が埋め込まれている。
その目が、
ゆっくり開いた。
『RX-00確認』
機械音声。
だがその奥に、
微かな感情が混じっていた。
怒り
執着
「……なに、あれ」
ヒロトですら声が掠れる。
リョーカの顔が青ざめていた。
「“門番”……」
「門番?」
「ヴェルトラウムが最後に作った、防衛個体」
リョーカの声が震える。
「本来、中枢が停止した時点で眠るはずだったのに……」
門番が一歩踏み出す。
ゴン
床が沈む。
『中枢汚染確認』
『RX-00排除を開始します』
瞬間
砲撃
門番の腕が変形し、
超高熱の光線が放たれる。
「伏せろッ!!」
モトキが叫ぶ。
熱線が研究室を薙ぎ払う。
カプセルの横を掠め、
壁が溶ける。
ヒロトが歯を食いしばる。
「このサイズで速ぇのかよ!!」
門番が突進する。
重い巨体とは思えない速度。
一直線に、
カプセルへ。
「リョーカ!!」
モトキが撃つ。
パンッ!!
パンッ!!
パンッ!!
装甲の継ぎ目へ、
正確に三発。
火花
わずかに動きが止まる。
「ヒロト!!」
「おう!!」
ヒロトが飛び込む。
床を蹴り、
壁を蹴り、
門番の肩へ。
短剣を突き立てる。
ガギィンッ!!
「硬っっっ!!」
刃が半分砕ける。
だが
ヒロトは笑った。
「でも止まったァ!!」
門番の視線がヒロトへ向く。
その瞬間。
ドゴォォン!!!!
横から、
巨大な衝撃。
門番が吹き飛ぶ。
モトキが目を見開く。
「……リョーカ?」
カプセルの中。
リョーカの周囲に、
黒い腕が浮かんでいた。
ヴェルトラウムの力。
だが以前と違う。
禍々しさより、
どこか優しい光が混じっている。
「ごめんね」
リョーカが苦笑する。
「ちょっとだけ使う」
門番が起き上がる。
胸の目が、
真っ赤に発光した。
『危険認定更新』
『RX-00、ヴェルトラウム再構築因子確認』
『最優先抹消対象』
その瞬間
研究施設中の壁が割れた。
中から現れる大量の 白い兵士。
ヒロトが乾いた笑いを漏らす。
「ははっ」
刃のかけた短剣を握り直す。
「数多すぎだろ……」
モトキも舌打ちした。
弾薬も無限じゃない。
このままじゃ押し切られる。
その時
リョーカが静かに言った。
「モトキくん」
「……なんだ」
「右側の制御塔、見える?」
モトキが振り向く。
研究室上部。
巨大なエネルギー制御装置。
青白い光が脈打っている。
「門番は、あれで動いてる」
「壊せばいいのか」
「うん」
モトキが頷く。
「ヒロト!! 時間稼げ!!」
「また無茶振りかよ!!」
笑いながら、
ヒロトが白兵の群れへ突っ込む。
モトキは走る。
銃撃を避け、
崩落する床を飛び越え、
制御塔へ向かう。
その途中
門番が動いた。
一直線にモトキへ。
「ッ!!」
避けきれない。
そう思った瞬間。
黒い腕が、
門番を拘束した。
リョーカだった。
苦しそうに、
それでも笑っている。
「はやく」
黒い侵食が、
腕から肩まで広がっていく。
「ボク、あんまり長く抑えられない」
モトキの胸が締め付けられる。
まただ
またリョーカだけが無茶をする。
でも
今は止まれない。
モトキは制御塔へ飛び乗った。
照準
呼吸
心臓の音
世界が静かになる。
「……当てる」
モトキはゆっくりと引き金を引いた。
パンッ――。
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