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弾丸は一直線に飛ぶ。
青白い制御塔の中心へ。
ガギィン――ッ!!
火花
だが
「……ッ、浅い!」
制御塔の外殻だけが砕け、
中枢には届いていない。
門番の赤い目が光る。
『脅威認定』
拘束していた黒い腕を、
強引に引き千切った。
リョーカが苦しそうに息を呑む。
「っ……!」
「リョーカ!!」
モトキが叫ぶ。
だが門番は止まらない。
巨大な腕が変形する。
砲身
超高熱反応
照準は――リョーカ。
『RX-00排除』
「やめろォォッ!!」
モトキが再装填する。
だが間に合わない。
その瞬間
ヒロトが飛び込んだ。
「よそ見してんじゃねぇよデカブツ!!」
短剣を門番の“目”へ突き刺す。
グジュッ!!
赤い光が乱れる。
『視覚損傷』
門番が暴れる。
ヒロトごと壁へ叩きつける。
轟音
壁が陥没する。
「ヒロト!!」
瓦礫の中から、
血だらけの腕が上がる。
「……っ、生きてる」
笑っていた。
でも
再生が追いついていない。
腕が変な方向へ折れている。
限界だった。
その時
リョーカが、
静かに目を閉じた。
「……ごめんね」
黒い光が広がる。
研究施設全体が脈打つ。
ヴェルトラウムとの接続が、
一気に深くなる。
モトキの顔が変わる。
「待て、リョーカ」
「これなら、壊せるから」
「ダメだ!!」
即答だった。
モトキは制御塔から飛び降りる。
「また消える気かよ!!」
リョーカが目を見開く。
モトキは怒っていた。
今までで一番。
「お前、毎回そうだ!!」
銃を握る手が震えている。
「勝手に全部背負って!!」
「モトキくん……」
「ふざけんな!!」
研究施設に声が響く。
ヒロトですら黙るほどの怒鳴り声だった。
モトキの目は、
涙で滲んでいた。
「俺達、仲間だろ……」
掠れた声。
痛いくらい、
必死な声。
「なんでお前だけが壊れる前提なんだよ」
リョーカの瞳が揺れる。
「……だって」
小さな声。
「ボク、人間じゃないし」
その瞬間。
モトキがリョーカのカプセルを殴った。
ガンッ!!
ガラスにヒビが入る。
「関係あるかそんなの!!」
モトキの声が震える。
「お前が笑って、泣いて、痛がって」
「俺達と一緒にいた時点で」
ヒビが広がる。
「お前はもう、俺達の仲間なんだよ!!」
モトキの叫びが地下に響き渡る
その時
リョーカの目から、
涙が落ちた。
黒くない。
透明な涙。
何かを嗅ぎつけたのか、
ヒロトがふらつきながら立ち上がる。
そして
血だらけの顔で、
ニヤッと笑った。
「つーかさ」
刃の欠けた短剣をぐるぐると回す
「お前、自分のこと過小評価しすぎなんだよ」
「……え?」
「お前がいたから、俺ら何回助かったと思ってんだ」
ヒロトが笑う。
優しく。
「今さら一人で消えられても困るっつの」
リョーカが声を詰まらせる。
その瞬間。
門番が再起動した。
『感情同期異常』
『RX-00精神汚染確認』
巨大な砲身が展開される。
エネルギー収束。
研究施設全体が振動する。
モトキが歯を食いしばる。
時間がない。
その時
リョーカが、
ゆっくり立ち上がった。
カプセル内部で。
「……そっか」
小さく笑う。
泣きながら。
「ボク、いてもいいんだ」
次の瞬間。
パキン
カプセルが、
内側から砕けた。
青白い液体が溢れる。
そして
リョーカが、
自分の足で外へ出る。
黒い侵食は残っている。
でも
その瞳は、
ちゃんと“リョーカ”だった。
「じゃあ」
ハンマーを握る。
その背後に、
無数の黒い腕が広がる。
だが以前と違う。
どこか暖かい。
まるで
ヴェルトラウムの中にいた無数の人達が、
彼を支えているみたいだった。
リョーカが笑う。
「帰ろっか」