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私は『私』が可愛くないことを自覚してたはずだった。
それを思い出したのは私があの子を傷つけた時…あの子とテニスをしてるのは楽しかったのに。
憧れの先生に目を掛けてもらって『努力の天才』と言われるあの子が羨ましかっただけ
『初心者が私より上手くなるなんて!』
…そんなこと、微塵も思ってなかったのに。
心ないその言葉が私の口から発せられたモノだと理解するのに時間がかかった
…気がついた時には遅かった。
覆水盆に反らず。その諺が頭の中に響き渡る。
そのあと、私自身、どうしたのか覚えてない。気がついたら、いつものように帰りの電車に乗っていた。
…でも、いつもと違うのは『私のとなりにあの子が居ないこと』
私はなんて可愛くないんだろう…
そう思いながら私は自責の念にとらわれてた。
ふと、足音が近づいてきたことに気がついて顔を上げる。
そこには仕事疲れのくたびれたスーツの人がいて、私に話しかけてきた。
くたびれたスーツの人は私にとって知らない人だったけれど、この人が掛けてくれた言葉に私は救われた。
私があの子にこの後、どんな言葉を紡いだってあの子を傷つけた事実は変わらない
けれど
もし、まだ許されるならば、あの子との残された時間である『テニス』という部活の時間だけでも仲間で、元の関係で居たい。
私はもらったお菓子を潰さないように握りしめながら、可愛くないって逃げてた『私』自身と私が大事にしたいと思うあの子への気持ちを強く噛み締めていた。
もし、叶うのならあなたと今までみたいにテニスがしたいって願う私を感じながら。