彼らにきた依頼とは 後編
◇ しろせんせーside
「……君達にはある事件の隠蔽を頼みたい」
奥に連れて行き珈琲をいれ、男の前に出すやいなやそう言った。
「まぁ、詳しく聞こうか」
男の向かい側のソファーに俺とりぃちょが腰掛けた。まちこは俺達を見つめているような形で立っていた。
「それは、まぁよくある話だが。
私はある政治家と仲良くしていた、まぁ君達と同じ側の人間だが一応会社の社長をしているんだ。」
そこで俺はあることに気づいた。
(こいつ…確かどっかで)
そう、確かこの男と政治家とのツーショットがネット記事に載っていた。
多分、今回の依頼はその政治家に関係することだろう。
「まぁ、政治家なんてクリーンな奴はいない。私は彼が当選するようにと、周りの関係者には、いわゆる賄賂を渡していた。
そしたらねぇ…困ったことにある記者のお嬢さんがこのことに気づいてしまってねぇ…
ほらこの記事。まぁ、大体これを見れば私の依頼なんて大体察せるだろう。」
そういい、男はある記事を見せた。
そこには、『○○記者に務める24歳 宮川 誠子 が昨夜、○○ビルから転落死した』というような内容が書いてあった。
「いやいや。私もびっくりしたもんだよ。まさか殺すなんてねぇ笑」
なにが面白いのかそいつは愉快に笑っていた。
「で殺した側…つまり私の部下の方はこちらで手を打った。
しかし、このままでは私の賄賂のことなどもバレてしまうだろう?それさ私達も仕事だからねぇ…だから、君らにはこの事に関する資料と口止め料を払うということをして欲しいんだ。
君らに頼めるかね?」
そういい、彼はお金が入ったキャリーと封筒を持ってきた。
「こっちの封筒は口止め料として向こう側に払う金だ。で、こっちのキャリーは…まぁ、いわゆる前金だ。成功したらもっと差し上げよう。
君達にとってもいい話じゃないかい?」
(はぁ…)
こいつ…いや、こんな依頼、今まで死ぬほど受けてきた。本当に浅はかな野郎たちだと思う。
「どうにか隠蔽を頼めるかな…金ならいくらでm」
「…あんなぁ。俺らはそんなカスみたいな依頼、受けるわけないやろ?」
そういうと向こうは拍子抜けとはこの事だとでも言うような顔をした。
本当に、愚かなものだ。
「悪いが俺らはお前らみたいな奴に仕事をするような性分じゃないんでね」
そういうと男は顔を歪めた。
「他の者当たってねー」
追い討ちをかけるようにまちこが珈琲を下げた。
「バイバイくそじじい〜」
りぃちょも興味を無くしソファから立ち上がり、まちこに着いて行くようにどこかに行った。
「ちっ…後悔しとけ」
男は立ち上がり俺の事を睨んだ。本当に、悪者という言葉が相応しい顔をしていた。
(はっ笑)
「例え俺らを襲おうとして誰か来たところで返り討ちだわ」
そう返すとまた悔しそうな顔をして立ち去って行った。
「あ、あいつ出てったー?」
厨房に行くとまちこが片付けていて、りぃちょもまちこの手伝いをしているところだった。
「あー。裏の方から出て貰った」
久しぶりの厄介な客やったのお。という話をしている時、カランカランという音が入口の方から聞こえた。
「ごめんなさいねー今日はもう終わってるんだよね」
入口の方を見ると12、3歳だろうか。中学生くらいの坊主がいた。
「…」
「どうしたの?ここは、君みたいな小さい子が来ていいところではないよ。」
まちこが坊主の方に近寄り話しかけるが無言のままだ。
「危ないからお姉さんが家まで送っていくよ!」
そういうと、坊主の口が少し動いたように感じた。
「……て」
「ん?」
「…僕の依頼を引き受けてっ!!」
「僕の…っ、僕の大切な姉さんがっ!!」
「坊主」
多分この時、俺はこいつに何かを感じたのだろう。
「少し話を聞こうか。」
─この時は、この坊主との出逢いが俺達の
運 命を変えるだなんて知る由もなかった─