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冷たい雨が路地裏を洗い流す夜、
中也は壁にもたれて、静かに煙草に火をつけた。
ふぅ、と白い煙が目の前を通り過ぎる
しとしとと降り注ぐ雨音が記憶の隙間を優しく埋めていく。
向かいのビルを見ながらぼんやりしていると足音が聞こえてきた
「……随分と、情けない顔してるね。中也」
聞き慣れた、けれどもう聞きたくなかった声がする。
振り返ると、傘も差さずに太宰が立っていた。
煙草を手放し太宰を睨む
「何しに来やがった……また俺を馬鹿にしに来たのかよ笑」
中也の声は、何時もより掠れていた。
疲れと痛みと、どうしようもない苛立ちに混じった、微かな諦め。
太宰はゆっくりと近づいてくる。
にこりと笑うその目元に、何かを隠しているのが見て取れた。
「否、君の顔が見たくてね」
「っ……巫山戯るな」
中也は太宰に背を向ける。
けれど太宰はそっと中也の肩に手を置いた。
「中也」
その甘く優しい声に、中也の肩が小さく揺れる。
「君には、ここにいないでほしかった。こんな場所で、一人雨に濡れることなんて……」
「お前だって、同じだろ……俺を心配する資格なンか、今さらッ……!」
中也は歯を食いしばった。
あの日、太宰がポートマフィアから姿を消した夜。
心のどこかで、何度も、太宰の名前を呼び続けてしまった自分が、許せなかった。
俺がどれ程泣き叫び手前を必要と嘆いたか、此奴は知る由もない
太宰は、そっと中也の前にまわる。
濡れた髪を払いながら、静かに瞳を合わせた。
中也の蒼い瞳が太宰を捉える
「ずっと、君に謝りたかった。何も言わずに消えてごめん」
「謝るくらいなら、最初から――」
中也の声が震える。
冷たく赤い指先が太宰のコートを掴んだ。
「勝手に行くなよ、太宰……」
ぽつりと力無く中也が言葉を零した
その言葉に、太宰は微かに苦笑する。
それでも、その目は何時になく真剣だった。
「もし、もう一度やり直せるなら……君と共に居たいと思うよ」
雨音が二人の間を満たす
「ねぇ、中也。もしやり直せたら、君は私を手放すかい?」
何も答えないまま、中也は太宰の胸に額を押し付けた。
太宰の香り、落ち着く体温。何もかもが心地良かった
「クソ太宰……手放す訳ねェだろ」
雨に混じって涙が流れる
それだけが精一杯だった。
太宰はそっと中也の肩を抱く。
サァァァ、と雨音が二人の時間を掻き消した
✻✻
あの、本当に駄々作過ぎてすみませんでした……
書くネタがッ無いッッッ!!
しかも!最近見なさすぎて憧れ様からコメント来てたのに返すの遅れた…ホンっとにやばい……
ちょっと言い訳もこの辺にしようと思います…
ではまた〜
コメント
5件
初コメ失礼します🙇💕 前々から作品を拝見していたのですが、このノベルが本当に素晴らしくて…!!!✨✨この語彙力は一体どこからくるのでしょうか!?!?!?そして太中の何とも言えないオトナな感じ?お洒落な感じが私には到底出せないのですごいです…🥰💕✨とても尊敬します!!フォローさせていただきます!次回も楽しみにしてます!
太宰、中也とやり直すの無理矢理じゃなくてちゃんと謝って聞いてるの流石って感じがします..😭何時も素敵な作品ありがとうございます🙇♀️💦