テラーノベル
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夕暮れの訓練場。
空気が張り詰めている。
レンとリョウヘイ。
剣を向け合ったまま動かない。
ダイスケは二人を見て息を飲む。
🩷…レン
レンは振り返らない。
剣を構えたまま言う。
🖤近づくな
リョウヘイが小さく笑う。
🩷なんで…戦ってるの
レンは低い声で言う。
🖤関係ない
💚いや、 関係ある
そして ダイスケを見る。
💚ダイスケを巡ってだ
ダイスケが固まる。
レンの剣が動く。
ガンッ!!
衝突。
ダイスケは思わず叫ぶ。
🩷やめて!
二人は止まらない。
剣の音が響く。
砂が舞う。
ダイスケの胸が苦しくなる。
🩷(やめて…)
レンが怪我をするかもしれない。
リョウヘイも。
その時、昔の記憶が蘇る。
母の声。
「ダイスケ、 貴方の歌は」
「人の心を動かす」
「だから」
「本当に守りたい時だけ歌いなさい」
胸が強く脈打つ。
ダイスケは二人の間に走り出す。
🖤ダイスケ!
レンが叫ぶ。
しかし、間に入った瞬間二人の剣が止まる。
ダイスケは目を閉じる。
そして、歌う。
🩷♪〜
その瞬間。
風が止まる。
訓練場の空気が変わる。
レンの目が見開かれる。
🖤(……なんだ)
胸が静かになる。
怒りが消えていく。
リョウヘイも驚く。
💚(この声…)
ただの歌じゃない。
空気が震える。
草が揺れる。
水の気配。
遠くの湖が
わずかに波打つ。
歌は静か。
でも、世界がそれに従っている。
レンの剣がゆっくり下がる。
リョウヘイの剣も落ちる。
二人の呼吸が整う。
歌が終わる。
沈黙。
風が戻る。
ダイスケは目を開ける。
少しふらつく。
🩷…あ
レンがすぐ支える。
🖤ダイスケ!
リョウヘイも駆け寄る。
ダイスケは苦しそうに言う。
🩷ごめん、俺…
レンが強く抱き寄せる。
🖤謝るな
リョウヘイは静かに呟く。
💚今の…本当に歌だけか?
レンが睨む。
リョウヘイはダイスケを見る。
真剣な目。
💚ダイスケ、君の声…世界に触れてる
ダイスケは驚く。
🩷え…?
レンの胸がざわつく。
リョウヘイは小さく呟く。
💚…帝国が欲しがる理由がより分かった
レンの腕がダイスケを抱く力を強める。
誰にも聞こえないほど小さく言う。
🖤…絶対渡さない
ダイスケはまだ知らない。
自分の歌が世界を作り替える力だということを。
そして、この歌が帝国と教皇庁を動かし
やがて戦争の火種になることを。
大公城の医務塔。
窓の外では月が静かに浮かんでいる。
机の上には無数の資料。
古い文献。 解読途中の羊皮紙。
ショウタは一人、目を通していた。
💙一致しすぎてる
小さく呟く。
先刻の出来事。
ダイスケの歌。
レンとリョウヘイの剣を止めた“あの現象”。
ただの精神干渉じゃない。
空間そのものが反応していた。
ショウタは別の紙を広げる。
そこには古い文字。
セイレーンに関する記述。
『歌は水を動かし風を止め人の心を鎮める』
ショウタは眉をひそめる。
💙ここまでならまだ伝承だ
しかし次の一文で手が止まる。
『完全なる歌は世界の理をも書き換える』
💙…は?
ショウタはゆっくり立ち上がる。
ありえない、そんな力。
だが、夕方の光景が頭から離れない。
剣が止まった。
風が止まった。
空気が従った。
💙まさか…
その時、扉がノックされる。
🖤ショウタ、起きてる?
レンの声。
ショウタはすぐ答える。
💙入れ
扉が開く。
レンとその後ろにダイスケ。
ダイスケは少し疲れた顔。
💙さっき倒れかけたって聞いた
ショウタはダイスケを見る。
じっと観察するように。
ダイスケは少し不安そうに笑う。
🩷大丈夫
ショウタは言う。
💙座れ
ダイスケは椅子に座る。
ショウタは手をかざす。
魔力を流す。
診る。
しかし、普通じゃない。
流れが違う。
人間のそれじゃない。
💙…レン
低い声。
💙お前は外に出ろ
レンは眉をひそめる。
🖤なんでだ
ショウタは強く言う。
💙いいから出ろ
レンは少し迷う。
ダイスケを見る。
ダイスケは小さく頷く。
🩷大丈夫
レンは渋々外へ出る。
扉が閉まる。
静寂。
ショウタはゆっくり口を開く。
💙ダイスケ、お前
ダイスケが見る。
まっすぐな目。
ショウタは一切濁さず言う。
💙ただのセイレーンじゃない
ダイスケの目が揺れる。
🩷…え
ショウタは机の資料を指す。
ダイスケは震える声で言う。
🩷…どうして
ショウタは淡々と答える。
💙歌だ、 さっきの
ショウタの目は真剣だった。
💙お前の歌、人の心を動かすだけじゃない
一歩近づく。
💙世界に干渉してる
ダイスケの瞳が揺れる。
🩷リョウヘイにも言われた…
ショウタは資料を見せる。
💙純血に近いセイレーンの歌は
一言ずつ、はっきりと言う。
💙世界を書き換える
ダイスケの顔から血の気が引く。
ショウタは静かに言う。
💙帝国が動く理由も 教皇庁が隠してる理由も、 全部これだ
ダイスケの声が震える。
🩷じゃあ俺は…
ショウタははっきり言う。
💙兵器だ
その言葉に空気が凍る。
ダイスケの目に涙が滲む。
🩷…いやだ
小さく呟く。
🩷そんなの…
ショウタは少し黙る。
そして言う。
💙今までは力の弱いセイレーンだと思ってた
ダイスケは震える。
🩷レンは…知ってるの?
ショウタは首を振る。
その時、扉の外でかすかな気配。
レン。
ショウタは気づいている。
だが何も言わない。
ダイスケは小さく言う。
🩷俺…どうしたら
ショウタは少し考える。
そして、静かに言う。
💙一つだけだ
ダイスケを見る。
💙歌を簡単に使うな
💙次は、止まらなくなるかもしれない
その言葉の意味。
まだダイスケには分からない。
だが、 確実に運命は動き出していた。
扉の外で、レンが拳を握る。
🖤(…世界を書き換える力)
そして心の中で誓う。
🖤(それでも、守る)
コメント
2件
世界を書き換えると言う事は… 争いのない世界を創る事も出来るはず でも、その代償は…もしや: (((;"°;ω°;)): むるさんの世界は心にくるからなぁ 前作も“幸せとは”を考えて泣いちゃったし… 今回も泣きそうな予感 ハンカチ用意しておきます(つд⊂)