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階段を降りると、空気が一気に重くなった。
地下室は狭く、湿ったコンクリートの匂いと、古い埃の味が口の中に広がる。
壁際には、壊れた棚や倒れた机が山のように積まれていて、わずかな隙間から冷たい風が入り込んでいた。
「全員、しゃがんで頭を下げて」
💜の声が低く響く。
子どもたちは毛布をかぶり、互いに体を寄せ合った。
息を吸う音すら大きく聞こえるほど、空気は張りつめている。
――ドオオオオオン!
天井がわずかに揺れ、上から細かい砂がぱらぱらと落ちてきた。
そのたびに誰かが肩をびくっと震わせる。
🩵が小さく泣きそうになると、❤がそっと手を握り、
「大丈夫、大丈夫だ……」と耳元でささやいた。
外からは爆撃の音に混じって、何かが崩れ落ちる低い轟きが続く。
近づいたかと思えば、少し遠ざかり、また戻ってくる。
そのたびに胸の奥まで冷たい手で掴まれるような感覚が走った。
次の瞬間――
ドガァァァァン!
ものすごい爆音が響き、地下室全体が揺れた。
誰かが短く悲鳴を上げ、灯り代わりの小さなランタンが床に転がった。
炎が一瞬だけ壁を照らし、その後すぐに闇に呑まれた。
「俺が拾う」
💜がすぐにランタンを拾い上げ、また小さな光が戻ってくる。
その光に照らされたみんなの顔は、白く、硬くこわばっていた。
爆撃音は、まだ終わらない。
この暗闇の中で、どれだけの時間が過ぎたのか、もう分からなかった。