とある飲食店でのバイト日時を増やした。
実家にお金を入れない代わり
仁人くんのお家に居候させてもらっているお礼に
私に出来ることはなんでもすると決めて
生活費を稼ぐことにした。
でも、いつか調理師免許を取りたいから
その為に日数を増やし
時間を延ばしただけだから
結局は自分の為なんだけどね。
「はぁー、…」
ソファーに雪崩れ込んで溜め息をつく私に
仁人くんが言い放つ。
「今日1日でそんなになってどうなるの?」
「それは私も思ってる…。まじで体力…!」
びっちりしごかれた。
でもそれが社会で仕事。
だからこれは、体力がなさすぎる私の問題。
「今まで運動して来なかったつけがぁー…!」
「いいから風呂入れ。」
「じゃあドライヤーしてよね。」
「はぁ?んなもん、自分でやれ。」
「うわぁー、吉田さんつーめーたーいー。」
「知らね。いいからさっさと風呂入る!」
「ふふ、はぁーい。」
吉田さんの言葉遣いが好きだ。
声も、話し方も、声のボリュームも。
全部全部、私の落ち着ける要因。
「ん、今日は寒いから鍋。」
「やったー、お鍋!おネギいっぱいだぁー!」
「危ないからはしゃぐな。」
「ふふ、 」
お風呂から上がると グツグツお鍋。
なんだかんだ言いながら
結局優しい仁人くんに甘えてしまう。
「あ、ごめん。電話出てくるね。」
マネージャーからだって言って
席を外す。
なんだか嫌な予感がして
その予感が的中しないそうに
ひっそり祈ることしかできなかった。
「ごめん、バレたみたい。 」
「私の存在、?」
「うん。」
言葉が出なかった。
だって、物件一緒に探してあげるから
もうちょい待っててって保留にしたのは
仁人くんじゃん。
バイバイしなくていいって
言ってくれたのに、。
「出ていく、、」
泣きそうになって、泣きたくなくて
涙を隠すように、誤魔化すように
勢い任せで仁人くんの家を飛び出した。
公園の屋根付きベンチに寝転んで
『今日は野宿かな』なんて考える。
「なにしてるん?」
声がした。
座り直して顔を上げると、舜ちゃんがいた。
「そっちこそ、」
突き放すようにぶっきらぼうに言えば
「仁ちゃん心配してた。」
と、ひとこと。
「それがなに?私は別にどうでもいい。」
「…出ていくって本気、?」
「そりゃ本気だよ。迷惑かけらんない。」
「だって、みんなに迷惑かけるんだよ?」
ふっ、と笑えば
何故か眉を下げて泣きそうな顔をする。
「別に私がいなくなっても、」
『寂しくないでしょ』って言おうとしたら
「それ以上は言わんといて、。」
より一層、困った顔をした。
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