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正直。さっさと死んでしまいたい。そう思ったことは数え切れない。でも、こうしてまだ生きている。
私は今日も僅かな希望を胸に抱いて、ただ時が過ぎるのを待つように眠る。
私は今日も学校に行く。セーターに汗を滴らせながら足を動かす。一歩一歩が沼にハマってるように重かった。
『お願い、誰かこの穴に気が付いて、埋めて、抱きしめて』
一生理解されることはない言葉をわざわざ口に出す程私は馬鹿じゃない。
言ったら家族に伝わり、なお一層家に居づらくなるだけだと分かっているから、バレないように、必死に隠すのだ。
だから私は知っている人のいない所で、人と関わることなく過ごそうと思っていた。
情けない自分を知られたくなかった。口をつぐめば隠し通せると思った。
だから少し難しめのところを受験をしたいと言い出した。ママは喜んでいた。
新しい学校の、新しい教室の扉を開けると、そこには翔太がいた。
私は恐かった。幼馴染で親同士の交流がある翔太は私の家族の歪さにも気が付いているかもしれない。そう思ったから。
そして翔太の家の歪さにも、私は薄々気がついていた。
翔太は母親にも、二人いる姉たちにも溺愛されていて、一見平和な家庭に見えるが、父親は授業参観や行事にも顔を出したことがなかった。そして母親は翔太に理想の息子を重ねているように見えた。
翔太の笑顔はお面を張り付けたような笑顔になっていった。