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学校では、翔太は笑顔を張りつけ、薄っぺらい言葉をすらすらと並べていた。
昔の、私の知っている、人見知りで、恥ずかしがり屋で、温かい翔太とは、別人に見えた。
一方私は、私の中の宣言通り誰とも関わらずにすごした。黙って窓の先を見て、グループワークも空気になって終わるのを待った。
そして毎日ひっそりと図書館から一緒に帰った。お互いの穴を隠し合うかのように。
翔太と一緒にいる時だけは。私はバレないように気を張ることも、機嫌を取るために笑顔を貼り付けることもしなくて良かった。
翔太もきっと同じ。綺麗な笑顔を張り付けることも、表面だけの薄っぺらい言葉を出すこともなかった。
かと言ってお互い何も聞くことは無かった。私たちの距離感は、触れそうで触れない、でも横にいて安心できるくらいを保っていた。
今日も食卓に私のものは用意されていなかった。勝手によそって勝手に食べた。食欲は、わかなかった。私の大好物だったはずのポトフは、もう、味がしなかった。