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「依頼ありますか?」
私たちは今,ノーアバリスにいる。3日間依頼を受けずにスカラーさんのロッジで過ごしていたから腕がなまっているだろう。それと宿代のお金に余裕がない。
「えっと,今日は魔物討伐と採集,護衛ですね。」
「護衛,というのは誰を?」
「はい,この依頼は緊急依頼として入ったもので国王の護衛となっております。この依頼を受けることができるのはステータスが剣術4,魔力4以上の方になっております。」
私の現在のステータスは魔力5,剣術1。剣術は最弱ではあるが魔力は最大レベルに達している。スカイはその反対で魔力は少ないが剣術はMax。国王陛下の護衛なんて私たちにかかれば余裕よ!
「じゃあ受けるわ!」
「えっ…本当に大丈夫ですか?」
「えぇ,私たちも強くなったの。大丈夫よ!」
スカイもギルド嬢も少し不安そうな顔をして私を見ていたけれど,大丈夫よ。私だってスカイだって強いんだから。
管理職のロナウディアさんに説得もして,なくなくギルド嬢は依頼書にハンコを押した。ロナウディアさんは何故私に説得を?と首をかしげて言っていたがなんだかんだでロナウディアさんがこのギルドで一番偉そうだったし。何ならロナウディアさんが依頼を管理しているんだから。
スカイは依頼書を少し眺めてま,いっか。とでも思ったのでしょう,短剣を手入れしてすぐに外に出た。
「ね,スカイ。私たちならできるわよね。」
「あのな,エアリス…。」
スカイから殺気が溢れ出す。あれ,私なんかやっちゃったけ。
「国王の護衛ってそんな気軽に楽しむイベントじゃないんだよ!大体ゲームとかの護衛って強い魔物に襲われるんだから!レベルだってまだ15近くで戦闘力もないのに…ごにょごにょ。」
ごにょごにょぶつぶつとスカイは唱えている。もう早口すぎて何を言っているのかは私にはわからない。これは想定外だった。あのスカイがあそこまで怒るなんて。あとげーむ…?がどうこう言ってたけどなんなのかしら。チェスとかの話?
そんなスカイはギルドの外にあったスカイほどの大きさの藁人形に短剣をぶっ刺した。刺さった部分は心臓。まぁ,スカイったら怖~い。いつか私もあんなのになるのかな。
「早くいくぞ!(怒)」
「は,はい!」
そうして怒ってしまったスカイと国王のいる城に向かったのであった。
「国王陛下の護衛依頼で参りました,エアリスとスカイです。」
国王陛下のいる城の警備は素晴らしいものだった。門は私の身長をはるかに上回り,その門は顔認証で開くようになっている。警備隊の人の姿はなかったけれど。
城に入る許可を貰い,門をくぐる。
豪華絢爛な庭に佇む一つのイスと机。あの上にティーセットでも置いてうふふおほほとでも言いながら王妃がお友達とお茶会でもしているんだろうな。私はどちらかというとその横にある大木にのぼって昼寝したいわ。
そんなことは置いといて,城にとうとう入る。
「依頼で参りました,エアリスです。」
「スカイ…アーツです。」
ひっろいロビーにシンデレラがガラスの靴を落として走る階段。その階段を悠々と降りてきたのは凛々しい顔の男の子。私と少ししか身長が変わらない王子様だった。こんな青年がこの国の国王だなんてびっくりよ。
「はじめまして,私はウェッジ。護衛の依頼を引き受けてくれてありがとう。」
「で,どうして護衛なんか?」
若き国王,ウェッジは真剣なまなざしで私たちを見た後にこういった。
「何者かに命を狙われておるのです。」
国王陛下に文句を言う者は少なからずいるだろう。しかし,その国王の命を狙うなんて許せない。この国にいる私は少なからずそう思う。若いのならまだ生きる価値はあるはずよ!
「私たちに任せてください!と,聞きたいんですけど警備隊は?」
ウェッジは首を横に振る。
…?いないの?じゃあ入り口だけ警備ばっちりだからいなくても大丈夫ってことですか?…嘘でしょ。そりゃ命狙われるよ。まだ依頼として出してくれてただけよかったわ。
「何かあった時の切り札としてあいつを召喚する予定だったんだけど,あいつどっか行っちゃって。ついでに探してくれるとありがたい。」
「…あいつって?」
「私の契約魔,ベルだよ。」
…いやいやいや,国王が悪魔と契約してるの!?いやぁ,時代って変わったんだなぁ。もう悪魔と契約して…
私がもし悪魔と契約するならどんな悪魔と契約するかな。とりあえずお金生んでくれる悪魔かな。
「ま,まぁ護衛と並行して探すことにします。」
護衛依頼,スタートです。
to be continued→