2組目

練習スタジオの隅で、佐久間が泣いている。そばには、目黒と渡辺がいる。佐久間に何があったのだろう。

佐久間ー俺、大丈夫だから。

渡辺ーそんなにポロポロ泣いて？

目黒ー岩本くんに確認した？

佐久間ーいいんだ、俺が見たことが全てだろうし。

渡辺ー分かんないじゃん、照に聞いてやる。

岩本が、女性を横に乗せて、楽しそうに運転していたらしい。佐久間は、たまたま、タクシーから降りて、歩きだしたとき、岩本の車を見た。今日は、大事な用事があるから会えないと言われていた。

なのに、女性と車に乗っている。

顔ははっきり分からなかったが、若い人だったと思う。

宝飾店に入って行った。

それが昨日のこと、今日の練習日、沈んだ顔をした佐久間に気がついて、渡辺と目黒が声をかけて話を聞いた。

目黒と渡辺は岩本に話をしに行った。聞いてみると微笑みが浮かぶ。

佐久間の、早とちりだ。

岩本は、信じてもらえてないと嘆く。渡辺は、そんな日、自分だって覚えてないと言う。

目黒ーえっ、翔太くん、覚えてくれてないの？

渡辺ーん〜ごめん、と、俺たちのことはいい。

岩本ー翔太で覚えてないとなると、大介は多分覚えてない。

目黒ーでも、明日なんでしょ？

岩本ー大介が、覚えてなくてもいい。

渡辺ー練習の後、渡してやれよ？

練習日。

今日も、佐久間は暗い。元気がないと分かる。

皆んなに聞かれて、ちょっとと言葉を濁す。

渡辺は言ってやりたい。が、岩本が練習終わったら、帰りに、自分から教えると言われている。

火の粉が飛んできた。

目黒に、覚えてないのか？と言われている。7年以上前のことなど、渡辺は覚えてないと言う。

岩本ー佐久間！

佐久間ー照・・。

岩本ー帰るぞ。

佐久間ー・・。

渡辺ー佐久間、日本だけど、ちゃんと結婚しただろ？

目黒ー岩本くんを、信じないと後悔するよ？

佐久間ー照・・。

岩本ー帰ろう？

佐久間ーん。

岩本の家。

岩本ー誤解してるみたいだから、先に言っておくけど、大介が見たのは妹。

佐久間ーえっ、でも、大人っぽく見えた。

岩本ーそりゃ、いい歳なんだから。で、問題です。今日は何の日ですか？

佐久間ーえっ？

岩本ー何の日？

佐久間ーえっと〜。

ソファに岩本は佐久間を連れて行き膝に乗せる。

佐久間は天井を見上げ、唸っている。

岩本ー4年前の今日の2か月前に、俺を好きになってごめんって言った。それから俺は悩んで、だんだんと大介が可愛くなって、俺も、気になるみたいだ、一緒にいるか？って言った日。

佐久間ー照が、俺を好きになってくれた日？

岩本ーん。

佐久間ー照！

抱きついてくる、可愛い佐久間。

ポロポロ泣いている。

岩本は、バッグの中から小さな箱を取り出し佐久間に渡す。

指輪だ。人差し指にする指輪。

大事に胸に抱える佐久間。

佐久間ーありがと、照、ありがと。

岩本ー着けてくれると嬉しい。

佐久間ーん、ん。

岩本が佐久間の頬の涙を舐める。

優しいキス。佐久間は思い出す。あのときも、泣く佐久間の涙を舐めて、優しくキスしてくれた。

大事に箱をテーブルに置き、岩本の首に腕を回す。

佐久間ー照、嬉しい、大好き。

岩本ー可愛い可愛い、大介。

佐久間ーんっ、ここでいい、愛して？

岩本ーふふふ、そう言うと思って、準備してる。

佐久間ーば、ばか！

岩本ーじゃあしないか？

佐久間ーいじわる。照が欲しい。

岩本ーあのころに比べて、大胆になった。

佐久間ーいや？

岩本ー嬉しい限りだ。

佐久間ー触って？いっぱい触って？

岩本ー大介・・。

佐久間ーはぁ・・はぁ・・。

佐久間ー好きになってくれて、ありがと。

岩本ー大介、可愛いなぁ。

佐久間ーんっ・・はぁ・・はぁ・・いい・・。

岩本ーいくぞ。

佐久間ーんっ・・はぁ・・あぁ・・照・・はぁ・・。

佐久間ーだめ、感じすぎる・・照・・でる・・。

佐久間ーはぁはぁ・・はぁ・・イク・・だめ・・はぁ・・イク・・はぁ・・。

シーツに包まり、佐久間は指輪を着ける。その手を取り、岩本が指輪にキスをする。

佐久間に、また新しい涙が出てくる。でも、いい、岩本が優しく舐めてキスしてくれるから。