コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「私、彼氏ができたの。」お茶とても美味しそうに飲んでいる彼女は、そう言った。
彼女とは幼稚園からの幼なじみで、僕にとって大切な存在だ。彼女のことを好意的に見ていると自覚したのは、5年前の小学6年生の夏頃になる。
彼女と幼なじみとはいえ、小学6年生になるまで同じクラスになることは無かった。しかし、ご近所さんとして話すことはあった為、彼女と僕は仲がよかった。その時から彼女は可愛らしくて、彼女と話しているのが気に入らないと、同じクラスの男子にいじめられることもあった。それを知った彼女の目は潤んでいた。その男子からのいじめはなくなった。僕は彼女に感謝していると同時に、彼女の潤んだ瞳が忘れられなかった。幼いながらに、彼女を泣かせたいと思ってしまう自分に嫌気がさした。こんなこと、彼女には言えなかった。離れてほしく無かった。ずっと彼女のそばにいたかった。彼女の一番でいたかった。だから僕の欲を隠して、彼女の1番の男友達でいようと決意した。そういう点で言えば、僕はずっと彼女に片想いしていると言っていいだろう。
僕の「泣かせたい」と思う気持ちがより強くなってしまったのは、あの時。中学生の時に友達とふとみた漫画。間違いなくアレのせいだと言っても過言ではないと思う。その内容は、簡単に言ってしまえばSM。その漫画では女の人が手錠やら足枷やらつけられていたり、無理やりされていたり…おっと、ここまでにしておこう。まあ、そういった漫画に惹かれてしまったのだ。それから僕の部屋にそう言った類の漫画が増えてしまって、置き場所に困っていたと言うのは秘密。
彼女で想像してするのも増えてしまって、彼女と顔を合わせるのが少し気まずくなってしまうこともあったり無かったり…
「ねえ、聞いてるの!?」彼女の声で現実に引き戻される。信じたくはないが、彼女に彼氏が出来たのは現実らしい。なんて残酷なんだ。よかったね、とは言ったのだが彼女には僕に元気がないことはお見通しらしい。「ねえ、どうしたの」と言いながらベットに座っている僕の隣へと体を移した。こういうところが嫌いだ。彼氏が出来たというくせに、僕の手の届くところに居る。そのくせ、触らせてくれないのだから。こんなに悔しいことがあってたまるか。このままじゃ、話すこともなくなるだろう。だって彼氏が出来たんだから。こうやって僕の家に来ることも無くなるだろう。だって彼氏が出来たんだから。そう考えていたら、なんだか無性に腹が立ってきた。どうせ、僕の前からいなくなる… だから最後に気持ちよくしてもらおうと思った。彼女との思い出を最高のものとして残したかった。 彼女をベッドに押し付ける。彼女は「やめて」だの「まって」だの言っているが、そんなのもう知らない。こっちは5年もお預けされていると、彼女は知らない。
埃のついている手錠や足枷が陽を浴びる。彼女は怖がって逃げようとドアを開けようとする。
…無駄なのにね。彼女が飲んでいたのは睡眠薬入り。ほんと、バカで可愛いね。
君は受け入れてくれた。顔はぐしゃぐしゃで、でも、失神もしながら最後まで付き合ってくれた。もう、僕たちは元に戻れない。誰も見つけてはくれない。
あぁ、またみられた。君の泣き顔。もう誰にも渡さない。僕たちはずっと一緒だよ。ずっと僕のことだけ見ていてね…
愛してる。