テラーノベル
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「三輪ちゃん。私ちょっと外出るね」
「えっ・・? でもまだパーティー終わってないんじゃ」
「うん。でももう充分かな・・」
「わかりました。また何かあったらお伝えしますね」
「うん。よろしく。ありがとう」
私はもうそれ以上そこにいるのが耐えられなくなって会場の外へと出る。
あまりの情報と予想もしてなかった現状にまだ頭も心の整理も出来ない。
息苦しくなって会場外のロビーに出てソファーに座り気持ちを落ち着かす。
もうどっから整理していけばいいんだろう。
どこから片付けていけば自分は納得するのだろうか。
だけど、一番は樹が立派に成長して素敵な男性になっていることが何より嬉しかった。
自分のいない所で樹は樹としての存在価値を見出して、誰よりも輝いていた。
私の知らない所できっといっぱい努力して頑張って、あの場所に立っていたんだと思う。
自分がいなくても輝かしい時間を過ごしていて本当に嬉しかった。
やっぱり自分が好きになった樹は間違いなく素敵な人だったんだなって。
樹を好きになってよかったって心の底から思った。
なのに、なんでこんなに胸が痛いんだろう。
立派な樹になって嬉しいはずなのに、なんでこんなに寂しく感じるんだろう。
自分は年上で先輩で、誰よりも樹の成功を応援していたはずなのに。
誰よりも喜ぶべき存在なのに。
まだこんなところで樹と付き合っていた時の面倒な気持ちが、樹を好きな面倒な自分が邪魔をしてしまう。
無性に樹がやっぱり恋しくなってしまう。
あんなにも気持ちが通じ合っていたと思っていたのに、樹にはきっとそうじゃなくて。
それ以上に傍で支えられなかった・力になれなかった自分が情けなく感じる。
樹の気持ち関係なく、私はきっと自分が樹の何の力にもなれなかったのが悔しいんだ。
だけど樹は樹自身それを望まなくて、私がいない場所で今のカタチにまで成し遂げた。
どれだけ私が望んでも、やっぱり樹には必要な存在じゃなかったんだとわかった。
ダメだ。
嬉しい気持ちと悲しい気持ちがグチャグチャでもう収拾つかない。
あぁ・・もうどうしていいかわからなくて涙が止まらない。
もうホントに忘れなきゃ。
こんな弱い自分なんて嫌いだ。
樹の前でこんな弱い自分見せたくない。
こんな弱くて情けない自分、樹に嫌がられる。
こんな自分は自分じゃない。
だけど。
こんなにも樹が誇りで愛しい気持ちと、その分寂しくて情けない気持ちと。
今は同時に溢れて来るこの感情と涙はしばらく止まりそうにない。
だから。
今はあともう少しだけ。
樹へのこの想いが全部溢れ出るまで。
この涙が全部枯れるまで。
全部終わるその最後までは、樹を想っていたい。
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