テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
──────八幡さん視点──────
「へ〜。私の相手は君?」
私がそう尋ねると、その神はコクコクと頷きながら、話し始める。
「いかにも!最高神様の命に従って君と相手をさせてもらおう。我が名は『赫巳神(かくししん)』。まあ武神、と思って貰えればいい。」
相手の目、所作はどれも自信に満ちており、余裕さえ感じられた。
それにしても、最高神の命令だけを聞くなんて、武士道精神に反しているのでは?とも思う。だが、神にその何たるかを語るのもまたおかしな話ではある。
「はぁ。別にいいんですけど。どーせ私が勝ちますし。」
「大層な自信だな。所詮は神に恐れをなして逃げた龍。」
「その口、すぐに黙らせてあげますよ。」
その言葉が戦いのゴングのように、同時に拳を振り上げる。拳と拳がぶつかり、周囲にはその衝撃波が飛ぶ。互角、と思われたが、私の方がやや優勢なようで、そのまま拳に体重をのせる。
「うぐッどうやら、なかなかにやるみたいだな…。ならば、こちらも全力で───!!」
そう武神が話した途端、私とそいつの力の強さが同等となる。なるほど、私もこいつの実力を舐めていた。私はすぐさまプランを変更する。サクッと倒そうと思ったが。
「久しぶりの戦闘なんだから楽しませてもらいますわ〜!」
──────味わい尽くしてから、じっくりとやる。正直戦闘狂は何千年も前に卒業したはずだが、最近はどうも血が湧く。それが、死ぬ直前の最後にやりたい事なのか、はたまた私の根本の考えは変えられないということか。
「楽しむ余裕はあるのか?」
そう言って武神は蹴りを入れてくる。それを私は腕を使って防御する。かなり重い一撃。素早く、重い一撃を簡単に放つのはさすがは神と言ったところだろう。だが、詰めが甘いところがある。人生経験が浅いせいだろう。もしくは戦闘経験が少ないからか。
そのままがら空きの脇腹に勢いを込めた拳を突き上げる。だが、そいつはその蹴りに血を混ぜてくる。──────その血が、不規則な動きをして、私の心臓をまっすぐ狙う。
「怖いね〜。初見殺しみたいだね。」
私は的確にそれを避けてから、少しだけ距離をとる。見た目的には炎でも操りそうなものだが、実際は血液操作、みたいなものだろうか?殺傷能力はそこまで高くないが──────。
「さぁ、歯を食いしばれッッ!!」
そう言って、武神は自身の脳を掻っ切る。その瞬間、周囲に大量の血液が溢れる。水よりも鈍くて、汚い色のそれが、私を囲むように広がる。神の再生能力だからこそできる大胆な技。単純に強い能力だと思う。
「はぁ、君は期待できると思ったのに。残念だよ。」
液体の強みはその圧倒的質量によるものだ。神1人分の血液じゃあ足りない。それに、その血は全ての体のものじゃない。全力でその能力を使っていない。不服である。どれだけ液体を鋭くしても、その斬撃は斬撃と呼べない。ただ、汚いだけだ。まあ、戦闘に赤が必要なのは認めよう。ただ、それは最後に散らすから綺麗なのだ。私自身の美学的にアウトである。だから。
「もう、いいや君。期待はずれだ。我は初代五大龍が一龍。名は『チの龍』。強欲に、傲慢に自惚れる、神の失敗作だッッ!!」
私のその声に答えるように、地とも言えぬその大地が揺らぐ。すぐにその地は揺れに耐えきれず、破壊されていく。地に雷の雷撃が刻み込まれたかのように亀裂が増えていく。
「ッッ!!?だから最高神様はこいつと戦うのを我にしたのかッ!今、わかったッ!」
そう言って、武神は──────地割れに対抗するかのように地割れを鎮めていく。
「我が名は『地の神』のある。まあ、祀られてるのもあって武神でもあるのだが。なるほど。我が神の始祖に使える龍だったのか。ならば、先祖の恥、我が果たして見せよう。」
「──────ハハッそれで地の神ぶらないでよ。お前は、神の力に耐えられたスゴいやつかもしれない。私のことを恥だと思っているかもしれない。ただ──────」
私は、地ならしを再開する。武神もそれに負けず劣らず防ごうとしているが、所詮はただの器に力を注いだだけのもの。本物に勝とうだなんて自惚れがすぎる。
「──────お前程度の軟弱者が、ご主人の名を騙るなよッッ!!!」
「軟弱者、か。それは我を侮辱する言葉。すなわち、神への冒涜である。」
「黙れ!お前程度のやつが神を騙るな。身の程をわきまえて、降伏せよ。目の前にいる私が!私のみが!お前の言う始祖様を唯一知っているものよ!」
「過去のものに縋りすぎだ。君は。前を見ず、後ろばかりを振り返り、そして後悔する。そんな奴が五代龍の1人だと?聞いて呆れる。」
「…ッ!!」
その一言に私の心臓がドクンとはねる。何か、私の核心をつかれたかのような、古傷をえぐられた可能な。言葉にはしがたい、独特の気持ち悪さとどこか、清々しい気持ちにもなる。自分がよく分からない。そんな、乱された感情も、敵を前にするならば、顔には浮かばせない。今は、この戦いに勝つ。そして、私の手で、ご主人を地位を継いだこいつを検査するべきだ。そう、謎の言い訳をしつつも、私は、そいつに向き直る。
「私は、もう神に使える龍じゃない。神くらい噛み殺してあげましょう。」
「悪魔に魂を売った龍に、髪の慈悲を与える!」
──────「神/龍の名にかけてッ!!」
ここで切ります!八幡さん編では戦闘パートを書くって決めてたので、少し長引くと思います!
そろそろ夏休みに入りますね!この物語を書き終えたらしばらくこの話の過去編を毎日…では無いですけど、不定期に投稿すると思います。また、一応次回作は何を書くか決めているので、楽しみにしててください。
それでは!おつはる!
コメント
4件
八幡さん死なないといいな・・・そして誤字が・・・
安定の誤字と