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いかに誰の人生の背景になれるのか

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いかに誰の人生の背景になれるのか

4 - 第四幕  これを偶然と名付けるのは実に憎い。

2026年02月07日

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今日は土曜日で今週は三連休、普段だったら予定なんてないが今日はたまに連絡を寄越してくる叔母からのメールがあり2年前に亡くなった祖母の墓参りへと叔父は仕事でいないので叔母と僕の二人で足を運んでいた。その墓地の周りは見渡す限りの水田で生い茂る緑の香りが妙に心地がいい町外れの田舎。叔母はこの村の隣町に住んでいるので今日僕はそこに泊まることになっていた。「淳くん、墓の周り草ぼーぼーだから抜いてもらっていーい?」

「わかった」

叔母は優しく声を掛けると大きめのゴミ袋を差し出す。僕はそれを受け取ると周りに生い茂る雑草に手を付け始める。実を言うと一年前にも来ていてその時も僕は草をむしっていた。正直言って退屈だが、叔母が言うには祖母が眠っているとかいう墓の周りは綺麗にしないといけないらしい。

僕的にはたかが石で故人なんて土に還ってるんだから別にいいだろ、とか思ってしまってる。もちろん口には出さないけれど。

それから一本、また一本と雑草を抜き小一時間ぐらいたっただろうか。そのとききはもう僕は作業を終えていて飲み物を買いに行くことにした。叔母が言うにはこの、先が見えない一本道をずっと行った先に自販機があるらしい。夏だったらしんどかったかもしれないがあいにく小春日和で過ごしやすい気候だったものなので気持ち的には気分転換の散歩にちょうどいいと感じた。

鼻を抜けるのは田舎ならではの自然の草花の薫り、耳を澄ませば用水路を流れる水の音、かわいらしい鳥のさえずりが聞こえる。そして無事に自販機が見え、あれかと思った矢先向こうから歩いて来る人物に嫌な既視感を覚えた。

あれは…蕗谷だ。最悪だ、なぜこんなところに?そう思うよりも先に蕗谷の持っているものに目がいく。その手には仏花が握られていた。それをみるに蕗谷も墓参りに来たようだった。

「き、奇遇ですね先生。」

もちろんこの一本道で逃げれるわけもなくこれは不可抗力だった。

「あぁ、柳原奇遇だな」

学校外で見る蕗谷は学校での蕗谷よりもどこか弱々しく感じてすこし居心地が悪く感じた。

「先生もお墓参りですか?親族とかの…」

話をつなげるように僕は咄嗟に口を開いた。

「あ、あぁ親族ではないんだが、昔の知り合いでな…」

そういう蕗谷はどこか寂しそうではたまた後悔しているようように見えた。

まるでその人が亡くなってしまったのは自分のせいだと言っているように。

「そうなんですね、僕も祖母の墓参りに来てるんです。」

「そうなのか、えらいな」

初めて蕗谷の褒め言葉を聞いたと言っても過言じゃない。だから余計に居心地も悪かったし、実を言うと早く会話を終わらせたかった。

「先生も向こう行くんですよね?」

僕は来た道を指差し一緒に行きましょう。と蕗谷と共に道を歩き始めた。

自分で言うのもなんだが、僕はわりかし口が達者なものなので会話が途切れることはなかった。

「今日はもう夕方ですよねこれから向こうに帰るんですか?」

「そうだな、この近くには泊まれるようなホテルもないからな、」

蕗谷は墓参りだけのために午前中で学校の作業を終えて、わざわざ3時間程かけて来たらしい。そこまでの人なのかと僕が思った矢先足音を聞きつけたであろう叔母が顔を出した。

「淳くん飲み物買え‥あらどちらさま?」

見慣れない顔に叔母はすこし驚いたような顔をしていた。

「僕の担任の蕗谷先生だよ。先生もお墓参りに来たんだって」

身元が分かったからか叔母は顔をパッと明るくすると一番言ってほしくなかった方向の話をし始める。

「あら先生もうこんな夕方なのにこれから向こうに戻るんですか?」

「はい、お墓参りが終わったらその予定で」

嫌な予感がした。客人に料理を振る舞うのを何よりも生きがいとするが故に自営業のカフェもやってる叔母だ。

「じゃあ先生今日はうちに泊まってってください」

あぁ言ってしまった。この人は気まずさなんて言葉もはなから頭に入っていないのだ、最悪だ…本当に、最悪だ。

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