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私
にとって、最も危険な敵。
それは……自分自身だ。
自分の中に潜む魔物は、常に私を苦しめ続ける。
私から大切なものを奪っていく。
私が今まで生きてきた中で、一番辛かった時期の記憶。
その記憶だけは、決して忘れることができない。
自分がどんな人間だったのか、思い出してしまうから。
それがたまらなく嫌なのだ。
過去の自分は、今の自分を裏切るかもしれない。
あの時の自分に戻れば、きっと幸せになれるはずだ。
そう信じていた時期もあった。
だけど……今になってわかる。
私はずっと昔から、何も変わっていない。
それは、ただひとつの事実だった。
この世界には……絶望しかない。
だが……もし、その絶望すら覆せるなら……。
それでもまだ……
お前たちは生き続けるのか? それとも、もう諦めたのか? それならそれでいい。
私が、すべてを終わらせるから……。
運命という名のレールから外れた人間の末路。
生きる意味を失い、死んでいくだけの人生。
誰かの言葉を借りれば、「生きているだけで丸儲け」なのだそうだ。
それが本当ならば、なぜ私はこんなにも苦しんでいるのだろう? 自分が間違っているとは思えない。
だが……何かが欠けていたような気がしてならない。
まるで……パズルの最後のピースだけがないかのように。
「生きてるだけでも幸せ」だと人は言う。
では……死ねば幸せなのか? 死んだらすべてが終わる。
だから……みんな必死に生にしがみついているのだろうか? たとえ……いつか死ぬとしても……。
私は……死にたいと思ったことはない。
だが……生きることに疲れてしまったのかもしれない。
結局は、それだけのことなのか?
「おーっと!ここで赤コーナーの選手がダウン!カウントを取り始める!」
リングアナウンサーの声が会場に響き渡る。
「1、2、3……」
ゆっくりと数えられる数字。刻一刻と減っていく残り時間。
あとどれくらい生きられるのか? 今すぐ死にたいのか?それとももう少しだけ生きていたいか? カウントダウンが進む中、少女は自分の死を受け入れることができずにいた。
「お願いだからもうやめてよ!これ以上わたしを苦しめないで!」
そう叫ぶ彼女の目の前には、すでに息絶えた両親の姿があった。
「どうして!?お父さんもお母さんも何も悪い事なんてしてなかったじゃない!!」
両親の亡骸の前で泣き崩れる彼女の背後に何者かが現れ声をかけた。
「お前が殺したんだよ……」
その言葉を聞いた瞬間、彼は……
静かに目を閉じて笑った。
それは……彼の人生そのものを表すような、悲しい笑顔だった。
病名:泡沫花病2 この国では昔から不思議なことがよく起こる。例えば……雨が降らない日が続くと、地面から植物が生える。それがやがて実をつけ種をつけると、そこから新たな生命が誕生する。そうして生まれた小さな命はやがて大きく成長し、また次の世代へと受け継がれてゆく。これはまさに神秘的な奇跡の連続であると言えるだろう。しかし、その奇跡の裏には数々の物語が存在する。それを知る者は数少ない。ただ……偶然にもその一部始終を目撃した者がいたという……。
少年は走っていた。それはもう必死の形相で、ひたすら逃げていた。後ろからは得体の知れない怪物が迫ってきているからだ。足音は徐々に近づいてきており、今にも追いつかれそうだ。そこで少年は近くにあったゴミ捨て場に飛び込む。そして物陰に隠れると息を殺して様子を伺った。しばらくして……怪しげな音が聞こえてきた。
ガサガサ、カサカサ まるで虫が大量に這っているような不気味な音だった。しかも、徐々にこちらに向かって来ているように思える。少年はさらに奥の方へ隠れようとするのだが、何か硬いものにぶつかった。どうやら箱のようなものらしい。恐るおそる開けてみるとそこには……大量の蜘蛛がいた。慌てて蓋を閉じるものの時すでに遅く、怪物に見つかってしまったようだ。