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※ 今回の話、ホラー要素ないかも。
わたしの趣味は動画をとること。youtuber、みたいになれればいいなぁ、と思っているけど、なかなか難しい。人気のyoutuberを真似した動画をいくつかあげてみたけど、再生数は二桁ばっかり。あーあ。もっと人気が出る動画が撮りたい!
そう思っていたある日、お兄ちゃんの部屋から音が聞こえてきた。パソコンで音楽を聴いているみたいだ。
「……」ヘッドフォンをしているお兄ちゃんは気づいていないようだ。
――今ならバレないかな? そっと部屋に入ってみる。お兄ちゃんは机に向かってスマホを見ていた。その背中に話しかける。「ねぇねぇ」
ビクッと肩が震えたあと、お兄ちゃんがこちらを振り向く。
「……どうした?」
「何聴いてるの?」
「…………内緒」
「えぇ~教えてくれたっていいじゃん!」
お兄ちゃんはイヤホンを外すと、スマホを手に取り操作をする。そしてわたしに手渡してきた。「これだよ」画面に映っているのは、ゲーム実況者の動画だった。
「ゲーム?」
「うん」
「面白いの?」
「面白いよ」
画面には、マイクを持ってゲームをしている人が映っていた。
「ふぅん」
「興味あるのか?」
「別に」
「お前も動画とってるんだろ? こういう、ゲーム実況とかやってみたら?」
「やらないもん」
ていうか、本当はやってみたけど、全然再生数は伸びなかったのだ。
「あーあ、どうやったら人気になれるかなぁ」
そういいながらお兄ちゃんのスマホを奪って、動画を検索して眺めていた。
「あれ、この子わたしと同じくらいの年だ。ほとんど一桁の動画なのに、一個だけすっごい伸びてる動画がある! すごいね。どうやってこんなに伸びたんだろう」
「それは俺にも分からないな……」
動画はなんてことない、女の子が公園とかで遊んでみたとか、そんな内容だった。でも再生数がものすごく伸びている。
「わたしもこのくらいの人気があれば、登録者数千人超えできるんだけどなぁ」
「うーん、俺はあんまり詳しくないからよくわからないけど、そういうのは簡単に達成できたりしないんじゃないか?」
「分かってるよぉ」
でもよく調べて見ると、ときどきそういう動画はあった。他は全然なのに、1つか2つ、すごい再生数になっている動画。でも、内容はどれもたいしたことはない。女の子が友達と遊んでみたとか、そういうのだ。あるいは、家族で旅行に行った、とかそういう、どうでもいいような動画も、ときどきすごく伸びてる。
「あれ、そういえば、こういう動画ってだいたい女の子が映ってるね」
不思議と、男の子だけの動画で、そういう伸び方をしたものはなかった。
「そうだな」
「なんでだろう? やっぱり可愛い子が見たいのかな?」
「さぁ……でも、女の子の方が共感を得やすいんじゃないか? ほら、可愛いし」
「えぇ~!?」
でも、それだとおかしい。もしそうなら、女の子が出ている動画全部の再生数があがるはずだ。ところが、伸びている動画とそうでない動画がある。なんでだろ?
「まぁ、とにかく人気になるには、いろんな方法があるんだよ」
お兄ちゃんはそう言って話を終わらせた。
「うーん……」
わたしはその言葉の意味がよく分からず、首をかしげてしまった。お兄ちゃんは何か言いにくそうにしている。何だろ?(続く)