テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
🖤視点
✱.˚‧º‧┈┈┈┈┈┈┈┈┈‧º·˚.✱
最後の仕事を終えてからスマホを見たが、やはり連絡はなく、メッセージの既読すらつかない
はぁぁと溜め息が漏れた
心理的にも落ち込んでいると下ばかり向いてしまうらしいから、敢えて俺は上を向く
雲の合間に星が輝いて見えた
明日も仕事がある
身体を休めなければいけないと頭では分かっていたけど
どうせ眠れないんだから、と
俺は大介の住むマンションへと向かった
合鍵はある、が
それを使う勇気はなかった
深夜の1時過ぎ
迷惑なのは分かってる
分かってるけど、ちゃんと話がしたかった
エントランスからの呼び出しには応答なし
仕方なしに合鍵でマンションに入り、直接部屋のチャイムを押すが、そこでも何の応答もなかった
阿部ちゃんは駅で別れたと言った
だったらどこに…?
俺はドアに寄りかかって、そのままズルズルと座り込んだ
もう、上を向く気力もなかった
遠くからエレベーターの扉が開閉する音が響く
人の気配に顔をあげると
「およ?」
大介がふらふらと
どこか軽ささえ感じる足取りでこちらに向かってくる
時計を見れば4時
いつの間にか、ここを訪れて3時間は経過していた
「なんでいんの〜?」
なんて、酔っ払っているのかへらへらしてる
人の気も知らないで…
「どこ行ってたの?」
俺がいじけたように体育座りのまま尋ねると、大介はきょとんとした後
「あべちゃんとカラオケ〜むっちゃ歌っちゃった」
えへへと悪びれた様子もなく笑いながら答える
阿部ちゃん、と?
駅で別れたなんて大嘘で、ずっと一緒にいた訳だ
ちらっと思い浮かべた阿部ちゃんがすました顔で微笑みながら、べーっと舌を出す
くそ、やられた
「てかダメじゃん。なんでいんの?明日も仕事でしょ?」
「それは大介だって」
「俺は明日、夕方からだもん。ちゃんと寝れるし。連はオーバーワーク気味なんだから、そこはちゃんとしないと」
騙されて、ずっと待ってたのに
待ち人は酔った上に説教かましてくるし、最悪だ
大介はポケットからキーケースを出すと、ドアを塞ぐように座っている俺を無視して、鍵穴にカギを通す
カチッとロックが外された音が、ドアに伝わって背中で響いた
「ほら、退いて。ちょっと家で眠っていけば」
顔は笑っているのに、俺を見下ろす瞳は真っ暗だ
大介は笑う
どんな時も
悔しい時はちゃんと泣くけど
泣いてもどうにもならない時は笑う
辛い時も、苦しい時も
周りに心配させないように平気で偽る
俺はちゃんとそれを知っていた
知っていたのに、間違ってばかりだ
立ち上がって脇に退くと、ドアを開けて中に入る大介について玄関に足を踏み入れて、すぐにその身体を抱き締めた
「いっぱい連絡したんだよ」
ぎゅっと後ろから抱き込んで、つい恨みがましい声を出してしまった
大介の前だと、俺はただの年下の後輩に戻ってしまう
普段はそれを容認して受け止めてくれる大介だけど
俺の腕に抱えられながら両手で自分のワイドパンツのポケットやジャケットのポケットを服の上から、手でパパパッと触ってから「あれぇ?」と首を傾けた
「これ、退けて」
パンパンっと俺の腕を叩き、ちょっと身体を捻って脱出すると、さっきまで手にしていた鞄の中を、しゃがみ込んで漁り始める
「あったぁ!!」
テレレテッテレー!!そんな擬音を出しながら、取り出したスマホの画面は真っ暗
「落ちちゃってんね」
へらっと俺の前にひらひらさせるけど、連絡したのに、に対する謝罪はなかった
まず俺がすべきなのは分かってる
でもどう言えば良いのか考えているうちに「ただいま〜」
陽気な声を出して、大介はリビングの方に歩き出す
俺も一応「お邪魔します」と声をかけてあがったが、この時にも小さな違和感があった
いつもはきちんと靴を揃えて上がる大介が脱いでそのまま、俺と距離を取るように歩いていってしまったから
俺は大介の靴も揃えて、上がり込む
「ツナ、シャチただいま〜」
主以外の人の気配に、部屋にあるキャットタワーの上から警戒したようにこちらを見ている2匹
大介は両手で手を振り、リビングと繋がったダイニングの方へ行くと冷蔵庫から水のペットボトルを取り出した
「蓮も何か飲む〜?」
「いや、平気。ねぇ、話聞いて」
「ん〜ヤダ〜」
にゃはと笑って、ペットボトルを口につけるのを、断られた俺は呆然と見てた
ごくごくと喉仏が上下して、ちょっと角度が悪かったのか、けほって小さく噎せる
口の端から漏れていく水が、こんな時なのに艶かしく感じてしまって、俺は俯いて唇を噛んだ
「だって見てたもん」
ああ…やっぱりな
じゃなきゃ、不自然な行動の理由が分からない
「綺麗だったね」
「は?」
「やっぱスノ担が考える組合せなだけあってお似合いだったわ」
「な、に…言って…」
大介はシンクに凭れかかると一瞬、感情を失くしたように無表情になって、足元を一点に見つめてた
何を見てるの?
何を考えてるの?
「ほら、よくあるじゃん?ベストカップリング!!あれあれ」
途端に何事もなかったように、顔に笑みを取り戻す
似合うかと似合わないとか
あんなの雑誌のただの企画じゃん
それに…
そんな事を言い出したら――――
「じゃ、自分には阿部ちゃんが似合うって言いたいの?」
「へ?あぁ…そうか、そうなっちゃうね」
なんて
何、納得してんだよ
俺がいて、なんでそんな事言えるの?
「今日だってずっと一緒にいたんだもんね」
カラオケって言ってたけど密室で2人きり
何の話をしたの?
なんて言って、慰めてもらったの?
そもそも
“似合う”とか言っちゃうんだから、気まずかっただけで、俺と康二の事なんて本当は何とも思ってないんじゃないの?
悔しいのか悲しいのが感情がぐちゃぐちゃになって、俺は俯いた
一番悪いのは俺だけど、大介だっておかしいじゃん
それが恋人の態度なの?
普通はさ、嫉妬したりするんじゃないの?
そもそもの話さ
見てないで出てこいよ
なんでその場で言わないで、阿部ちゃんと出掛けちゃうんだよ
「何、その顔?疑ってんの?」
少し顔を傾けて、不服そうな俺の表情を見る目はいやに冷たい
大介は口元を歪めて、冷笑を浮かべると
「そ。じゃ、隅々まで見てみれば?浮気の痕跡なんて、どこにもないけどね。そもそもあべちゃんはそんな事しない」
そう言った
これだ
これが、いつも気に障る
阿部ちゃんに対する絶対的な信頼
誰も立ち入る事の出来ないような、出会った頃には既に紡がれていた強固な絆
どうせ、俺は…って気にさせる
俺が恋人なのに
「自分で言った事、あとで後悔しないでね。見せてもらおうじゃん、隅々まで」
苛立ってた
色んな事に
売り言葉に買い言葉みたいになって
いつもの俺たちとはかけ離れた空気になって
俺はまた見誤ったんだと思う
大介は一瞬顔を歪めたけど、小さく息を吐いて諦めたような笑みを浮かべてた
✱.˚‧º‧┈┈┈┈┈┈┈┈┈‧º·˚.✱
書き始めたらからには書くけど…不仲になりそうな2人を書くのは思ったよりしんどいな…
らぶが…らぶが足りないヾ(:3ノシヾ)ノシ
コメント
6件
さっくんの気持ち分かりすぎて胸が痛い……わたしもおんなじ子と言う気がする😭 こーゆう展開のお話大好きなんだけど、これ以上拗れる前に素直な2人に戻ってほしいですー😭😭
心がっ心が痛い😭 ツラいよ…でも読みたい♡
売り言葉に買い言葉な感じになってどんどん引っ込みつかなくなっていくんよね…。この後も余波は広がりそうだけど早くラブラブに戻りますように(-ω-人)
#きゃらほうかいちゅーい