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昼休みのグラウンド。周りのカップルがハチマキ交換して、写真撮ったりはしゃいだりしている中──
🌸はその光景を、なんとなく眺めていた。
そんな彼女の横で、
芝生に座りながらぼーっとスマホをいじってる角名倫太郎。
「りんちゃん…みんな交換してるね」
「んー、してるねぇ」
全然興味なさそうに返す。
でも、その無気力な目線はちゃんと🌸を捉えてる。
「……したいん?」
ぼそっと、小さな声で。
「えっ」
「顔に出てるよ。
“いいなぁ〜”って思ってるやつ」
全然こっち見ずに、画面いじりながら言うのほんとずるい。
「……別に、りんちゃんとしたいなんて言ってないよ?」
「んー。
じゃあ別にいいかー……」
と言いながら、
りんちゃんはスマホのカメラを起動する。
「はい、こっち見て」
「なんで撮るの!?」
「嫉妬して拗ねてる顔、可愛かったから。
今の逃すのはもったいない」
さらっと言う。
顔も声も淡々としてるのに、言うことだけ刺さる。
「拗ねてないもん!」
「また撮れた」
「りんちゃーーん!!」
ぷくっと頬を膨らませた🌸を見て、
角名はようやく顔を上げた。
そして、目元だけでふっと笑う。
「……可愛い」
それは小さくて静かな声。
でも、彼の本音だけが詰まってる。
ゆっくり立ち上がると、
りんちゃんは自分のハチマキを外して、
ごく自然な動きで🌸に近づいた。
「……交換したいなら、したいって言いなよ」
真顔。
でも、目の奥だけが少しだけ意地悪に光る。
「……したい、りんちゃんと」
そう言った途端、彼は喉の奥で笑った。
「可愛い。
素直なの、好き」
りんちゃんはハチマキを持った手を伸ばし、
ゆっくり🌸の頭に巻きつける。
首筋に触れる指が、ひんやりして気持ちいい。
「ん、似合ってる」
優しい声。
「次、貸して」
🌸のハチマキを受け取ると、
りんちゃんは一瞬迷って──
自分の首に巻いた。
「……あれ、頭じゃないんだ?」
「うん。
常に見えるとこに“🌸”が欲しい」
淡々と、爆弾を落とす。
「今日ずっと見るから。
授業より集中できる」
そう言ってスマホを構え、パシャ。
「何撮ったの?」
「“俺のハチマキつけて照れてる🌸”」
「りんちゃん!!消して!」
「やだ。
今日の待ち受けにする」
絶対しそうだから怖い。
そこへ、通りすがりの男子が
「あ、角名の彼女可愛いじゃん」
なんて軽く言った瞬間──
りんちゃんの指がピタッと止まる。
そして、無表情のまま振り向き、
「見るの、やめよっか」
その言い方だけで、背すじが凍る男子たち。
圧が静かすぎて余計に怖い。
男子たちが逃げたあと、
りんちゃんは何事もなかったように🌸の手を取った。
「交換したから、今日はずっと一緒ね」
無気力声なのに、握る手はしっかり強い。
「離れたら?」
「……追いかける。
写真いっぱい撮る」
「なんで?」
「寂しいから」
その瞬間、
ほんの少し口元が緩んだ。
「体育祭終わったら、
二人でごはん食べよ。好きなの奢る」
「優しい……」
「ん。
……代わりに、あとで甘えさせて」
声が低い。
意地悪。
でも愛たっぷり。
りんちゃんはスマホを掲げて小さく笑う。
「今日の🌸、全部撮るから」