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「ほらここだよ」
小さな公園のベンチに腰掛ける。
遠くの方には大きな観覧車がキラキラと光って、その光が海面に反射していた。架かっている橋にもイルミネーションが施され、まさにクリスマスといった感じだ。
運の良いことに、俺たちがいる公園には人はいなかった。少し遠すぎるためだろう。
「カイロ持ってくればよかったな」
「マジで寒い…くそが…」
「口悪いよ…」
人が集まるところは屋外にストーブが置いてあるようで、こことはかなり温度差があるみたいだった。
「ごめんね、こんなとこで」
「なにが」
「暖まれるもの何もないからさ」
赤くなった手を擦りながらチッと舌打ちをして俺のそばに近づいてくる。どうしたんだろうと気にしていると、俺の手を取って握り始めた。
「あろま…」
「寒いから貸して」
まだスキンシップには慣れなくて、心臓がドキドキしている。触れる手が、触れる肩がほんのり温かくて、寒いはずなのにずっとこの場所でこうしていたいと思い始めていた。
デートと言うほど歩き回ったわけではなく、なんとなく街の雰囲気に飲まれているだけなのに、俺の気分は盛り上がりを見せていた。数時間前の四人での活動とは打って変わって、静かな空間に二人きり。
旅行したときのことを思い出す。露天風呂で二人、夜空を眺めていたときのことを。あのときもドキドキして、勢いで告白したっけ。
「…あのさ」
握る手に少し力が入る。
「やっぱり、オープンにしたいと思う?」
「何の話?」
「それは…俺らのこと、あんまり他に話したりしてないじゃん」
「あろまが嫌がってたからさ 」
「でもえおえおはさ…隠すのめんどくさいとか思ってないかなって…」
珍しく弱気な発言だった。
「そんな事言うなんて…どうした?」
「らしくないよな…悪い…」
普段のあろまからは想像できない声だ。
「何か不安なことでもあるの?」
「まぁ…」
しばらく口を閉ざし、自信のなさそうな声でまた喋り始める。
「最近思うんだ…本当に俺でいいの?もっといい人いるんじゃないの?って」
「えっ…」
「女みたいに胸もないし、柔らかくもないし…他の人に自信持って恋人ですって言えないし…
今日は楽しみだったけどさ、もっと堂々と歩けたらって思ったんだよね…」
最近元気なかったのって、それが原因?
あーあ…
かわいいな…
To Be Continued…