テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
出産は日本でしたかったという願いが嘘のように叶い、龍聖君が戻れるタイミングとも上手く重なった。
病院を予約し、あとは赤ちゃんが生まれてくるのを待つだけ。当然、不安はあるけれど、私には2人のお母さんがついているし、いろいろ話を聞いて心の準備をしている。先輩ママ達の意見はすごく勉強になる。
自分が母親になるなんて、正直まだ全然ピンとこないけれど、龍聖君との子どもだと思うと嬉しくてたまらない。
男の子でも女の子でもいいから「似るなら絶対龍聖君に!」と、心から願っている。最高の遺伝子を受け継いだ子どもが、いったいどんな風に成長するのか楽しみだ。
父親になる龍聖君と、母親になる私。
私達には、生まれてくる子どもに対して責任がある。ちゃんと親になる自覚を持って、愛情いっぱいに育てたい。
まだまだ今は理想論だけれど、この手に可愛い赤ちゃんを抱いたら、きっと自然に親になれる……そんな気がしている。
「大変お待たせ致しました」
「ありがとうございます」
1人、カフェで過ごすなんて贅沢な時間だ。
甘くて香り高いロイヤルミルクティー。
子育てが始まったら、こんな優雅な時間はしばらくお預けなんだろうな。
「えっ! もしかして琴音ちゃん!?」
そう思った矢先、誰かに声をかけられた。
「あっ、莉奈さん! お久しぶりです」
目の前に、「AYAI」で一緒に働いていた先輩が立っている。あまりの偶然にとても驚いた。
「本当に久しぶりね。いつ海外から戻ったの?」
「つい最近なんです。やっと日本に戻ってこれました」
「そうなんだ。本当にびっくりしたわ。あっ、ここ座っていい?」
人懐っこい莉奈さん。
以前からとても話しやすくて楽しい人だったけれど、今も全然変わっていない。
「もちろんです。どうぞ座ってください。『AYAI』の皆さんはお元気ですか?」
綾井店長のこと、ずっと気になっていた。
元気でいてくれればいいのだけれど……