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#ゆあなお
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椚ヶ丘中学校。3年E組の副担任として就職することになった。新卒の春。面接の時、
「3年生なんて特に大事な時期にいいんですか?」
と尋ねると、
「あぁ。いいのいいの。適当にしてくれたら」
と先生が話していた。
気楽にしてていいから、という意味だろうと思い、次の日担任や、関連のある先生方とお話することになった。配られたプリントに場所が書いてある。えーと、椚ヶ丘中学校の本校がここだから…坂を上がって、山に行って沢を渡って…遠くね??
次の日。指定された場所は仕方がないので、殺虫スプレーを片手に校舎に向かった。
懐かしい木造校舎は、漆と木の匂いで溢れていた。青春を飾るにはとても良い。….虫がいることを除けば。
「にゅやっ!貴女が新卒のゆう先生ですか!これはこれは足元が悪い中来ていただきありがとうございます!」
3m近くある天井に、するんじゃないかと思うほどの帽子。海外の某有名大学の卒業写真のような帽子と、黒い教授服。ネクタイは月が刺繍されていてオシャレなのだが、まずは。
「こちらこそ…お世話になりまぁす….」
なんだその黄色い頭!!マスコットか?被り物か?着ぐるみなんですか?!
….いやいや、先生とはいえ趣味はそれぞれ。私の緊張を解こうとしてくれてるのかもしれないし。
「ささ、どうぞ中へ!スリッパはどれがよろしいですか?!選んでおきました!!」
段差の上には、黒と白のシマシマスリッパ・ピンクのふわふわスリッパ・赤と白のみずたまスリッパが置いてある。….私は1番無難な、黒と白のシマシマスリッパに足を入れた。
「ありがとうございました….」
優しいです。優しいですけど。なんでそんなにスリッパあるんですかしかも多分女性用!!
「新卒でうちの学校なんて嬉しいですね。さぁどうぞ!こちらが職員室です」
ガラガラと戸を開ける手(?)は、チョキしかできないスタイル。あのぅ、緊張はもう大丈夫なので、その着ぐるみももういいかな、みたいな….。
職員室に入ると、上手にオールバックにスーツの、まともな男性がひとり木造の椅子に腰掛けていた。
「驚かせてすまない。腰掛けてくれ」
良かった。ここにはまともな先生がいるんだ。黄色い着ぐるみの先生は、よいしょ、と小声でつぶやきながらスーツの先生の隣に座った。
「では、まず。本校への就職嬉しく思う。俺はこのクラスの体育教師・烏間惟臣だ」
「そして!!私がこの3年E組の担任です!」
テンション差がすごい。
「よろしくお願いします。ゆうと言います。家族の関係で苗字が多くて。どうぞ下の名前でお呼びください」
「ゆう先生!どうぞよろしくお願いいたします!お会いできて光栄です!」
あぁ圧がすごい。
「ではさっそくですが。ゆう先生。月がある日突然三日月になったのはご存知ですか?」
「あ、はい」
着ぐるみ先生は続ける。
「私がしました。1年後には地球も破壊します。ですが、捕まりたくはないです。椚ヶ丘中学校の3年E組の担任ならしてもいいと言うと、国は私の要望通りにしてくれました」
はい?
「どんな方法を持ってしても、今の所こいつを殺せていない。生徒には勉強兼、こいつの暗殺をしてもらう」
ん?
「これは口外してはいけません。だから暗殺なのです!どうです?楽しくなりそうでしょう?!」
……えー…..と、
「整理させてください?
着ぐるみ先生は月を壊しました。1年後には地球も壊す予定です、」
「はいそうです」
「それを阻止するための国は、着ぐるみ先生を殺せていないので、着ぐるみ先生の暗殺できる1番近くにいる3年E組の生徒に暗殺を教えます」
「その通りだ」
「……ほぉ」
なぜ….私は….こんな…中学校に….就職してしまったのやら…..
「君には副担任として、こいつの暗殺を頼みたい」
「おっ…..」
とぉ?
「習っていたんだろう?剣道」
武術はそれだけですけどね?!
「一通り調べさせてもらった」
「…..が….頑張りまぁす…..」
「あ、そういえば」
着ぐるみ先生が続ける。
「私これ着ぐるみじゃないんです。こういう身体」
握手(?)を求めてくるので応じると、
「きもちぃ…!」
ぷにぷにでやわやわ…!冷たくて気持ちいい!!
「…..。それはありがとうございます。素直な性格のようですね」
「えっと、じゃあ触手先生」
「間違ってはいないのでいいでしょう。はい。なんですか?」
「地球を壊すのは、関係ない人を巻き込むので良くないと思います」
「そうですか。ですがやめるつもりはありません」
「….そうですか…..」
私は考えた。この人たちはいい人そうだ。なにか、お互い殺さない方法を取れないものか。
「では次に、ゆう先生が副担任をなさる3年E組についての規則がこちらです」
木造の机の上を滑るプリントを覗き込むと。
“ 成績不振により特別強化クラス(以下3-E)に編入された生徒たちは
・専用の特別校舎で生活し、必要なく本校舎に入ることを禁ずる
・学業に集中するため、部活動や校内活動には制限を加えるものとする
・全ての活動に関して、3-Eの優先順位は他の組より常に下に置かれるものとする
・3-Eにて良好な成績を修め、努力が認められれば、転入前のクラスに戻ることを許可する
・二学期終了時まで3-Eに在籍している生徒は、椚ヶ丘高校への内部進学は許可されないものとする
・3-Eに編入された場合、以上のような様々な制約を受けることは、入学前に本人と保護者が承諾したことであるので、生徒は自己責任として受け入れ、努力すること “
HPの写真と、この建物の様子からなんとなくイメージはしてたけど、これは差別に近い内容が綺麗事として並べられているのでは…?
「君は知っておいてくれたら大丈夫です。さ!どんな生徒が来るのか。そして、君がどんな暗殺をするのか!非常に楽しみですね!」
私の新卒最初の就職先は、随分変わった中学校と上司を抱えていた….。正直。不安である。
ーーー人物紹介ーーー
〇生年月日 3月3日
〇身長 144cm
〇体重 45kg
〇経歴 通信高校2年→大学→E組副担任
〇趣味、特技 演劇
〇ポリシー 自分にできないことを人に期待しない
〇弱点 虫
〇長所 話しやすい