テラーノベル
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バタン、と勢いよく部屋のドアを閉めたのに、
気配を感じる間もなく、
すぐにノックの音がした。
元貴『…な、何、?』
ドアの隙間から、綾華が顔を覗かせる。
綾華『お兄ちゃん?
ちょっと部屋入ってもいい~?』
元貴『……駄目、』
即答したけど、綾華はニヤニヤしながら
勝手に部屋へ入ってきた。
軽やかにベッドの端に腰を下ろし、
僕のことをじっと観察している。
綾華『さっきの、絶対怪しいよね~!
さ、質問タイム!』
元貴『な、なんだよ…』
綾華『若井先輩のどこが好きなの?
告白されたの?それともお兄ちゃんから?』
いきなりまっすぐな質問。
僕はびっくりして息を呑んだ。
元貴『べ、別に…そんなんじゃ…//』
顔がじわじわ熱くなってくる。
手の甲を口元に当てて、
なんとか誤魔化そうとした。
綾華は全然容赦しない。
綾華『へぇ~、でもさ、
帰り道でめちゃめちゃ嬉しそうにしてたよ?
耳まで真っ赤だったし!』
元貴『ち、違うっ…
…そ、そんなことないし、///』
必死に否定するけど、
眉は自然と困ったように下がってしまう。
綾華『もしかして、手とか繋いだん?
キスとかした?』
元貴『…んな、してない、!
し、しないから!///』
思わず声が裏返って、
さらに顔がどんどん熱くなっていく。
恥ずかしくて、手の甲をぎゅっと
唇に押し当てる。
綾華『ふふっ、お兄ちゃん可愛すぎ〜
も〜絶対恋してる顔だよ、それ!』
綾華は楽しそうに笑って、
ベッドの上でぱたぱた足を揺らす。
元貴『もぅ…ほんとにやめろよ……///』
僕はとうとうソファのクッションに
顔を半分埋めてしまう。
綾華はそんな僕の頭を優しくぽんぽん、
と叩いて、
綾華『悩んだら何でも相談していいからね?
彼氏できたら、ちゃんと“お姉ちゃん”に
紹介してよ!』
元貴『…お姉ちゃんじゃないし、///』
とぼけて返すけど、綾華は満足そうに笑った。
しばらくして彼女は、
『じゃ、邪魔しちゃ悪いから』と
部屋を出ていったけれど、
僕の顔の熱はなかなか落ち着かなかった。
部屋の窓から差し込む夕焼けを見ながら、
僕は眉を下げて、手の甲で口元を覆いながら、
小さくため息をついた。
――けど、心の奥ではほんの少し、
幸せな気持ちが膨らんでいた。
コメント
4件
もう図星突かれすぎてて本当にお姉ちゃんなんじゃないかって思いますw 自分も兄弟いますが恋バナなんてした事もないので本当に仲良しなんですね😭岩井さんも早く仲間入りして欲しいです🥹
えっともう、尊いと可愛いと最高しか言えないですね!!!!