テラーノベル
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お風呂上がり、
湯気にほんのり包まれながら
リビングの戸を引くと、
ちょうど父が『ただいま』と
帰ってきたところだった。
父『おう、元貴、ただいま。
あ、風呂あがりか。
さっぱりした顔してるな~』
父が大きな荷物を下ろしながらニッと笑う。
元貴『おかえり、お父さん……』
バスタオルでまだ少し濡れた髪を拭きながら、
僕は落ち着こうとリビングの隅っこへ。
けれど、さっきの“妹襲来”の一件で
内心そわそわしていた。
そこへ綾華が勢いよく立ち上がって、
いきなりリビング中に響く声で叫んだ。
綾華『お父さーん!お母さーん!
お兄ちゃん、
若井先輩のこと好きなんだってー!!』
カーン、と何かが割れるような心の音。
僕は瞬時に顔が真っ赤になるのを自覚した。
元貴『なっ……!
あ、綾華、何言って――!!///』
母『えぇっ、なになに、そういうこと!?』
母がいそいそとやってきて、
父も思わず荷物を放り出して
僕の方を振り向く。
父『お前、ついにそんな相手ができたのか!
いつからなんだ!? 素直に言ってみろ!』
父の声にはちょっと笑いも混じっていて、
けれど妙に真剣な目。
元貴『え、べ、別に……っ、
そんなこと、ないって…!///』
顔から火が出そうなくらい赤くなり、
思わずリビングの隅で小さくなる。
綾華が面白がって、母の横で両手を振る。
綾華『さっきから若井先輩の話になると
ず〜っと顔真っ赤なんだよ!
しかも帰り道も一緒だったし!』
母『へえ~、若井くんと?
どういう経緯なの!どっちから告白したの?』
父『まさか、
もうプロポーズとかされてないよな!?』
父まで身を乗り出して、
とんでもないことを言いだす。
元貴『だから、そんなこと、全然――!!///』
僕は両手でぎゅっと口元を覆い、
どうにか声を押し殺す。
そのまま下を向いて眉を
へにゃっと下げてしまう。
母『いやぁ~照れちゃってるってことは、
やっぱり図星かしら〜?』
母は嬉しそうに目尻のシワを深くし、
『青春だなぁ』『やっぱり可愛げがあるな』
と、父までしみじみと突っ込んでくる。
綾華はすかさず、
『お兄ちゃん、今度若井先輩連れてきてよ!
ファミリーチェックしなきゃ!』なんて
もう好き勝手なことを言う。
元貴『やめてってば!!本当に!!////』
声を大にしても、
家族の陽気な笑い声は止まらない。
母が『いいじゃないの、
好きな人がいるって素敵なことよ』
と肩をぽんと叩き、
父も『本気で守りたいって思えるやつに
出会えたら、家族でしっかり!
応援してやるからな!』と、力強く笑う。
僕はますます顔を赤くして、
手の甲で口元を押さえたまま俯いた。
そんな温かい家族の声と、
やっぱり少し誇らしい気持ちが、
胸の奥にふわっと灯るのだった。
コメント
6件
何だこの平和な家族は。 可愛いなこんにゃろ…です。
えっと何回でも言います、なんだ、この尊くて可愛いくて最高の三点セットの家族は!!!!可愛い過ぎるだろぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"!!!!!!
うわわmtkくん照れちゃってるのしんどいかわいい🤦♀️💕家族全員すごくいいひとでほんわかしちゃいます😖❤️