会場
月明かりが静かに舞踏会の場を照らし出していた。煌びやかなシャンデリアが天井から吊るされ、その光が広間の大理石の床に反射して幻想的な雰囲気を醸し出している。
スターチスは、タキシードに身を包み、その瞳には興奮が宿っていた。「ここが舞踏会ですか。まさかこんな形で来ることになるとは思いませんでしたね…」
ネモフィラは辺りを見回している。
そして、こちらに振り向き
「計画通り最初は普通の人たちのように振る舞っていてるのよ。その間にスターチスが爆弾の設置をする。そして、準備ができ次第合図してね。わかった?」
俺とスターチスは深く頷いた。
ホテル
2人の間にはしばらく沈黙が続いていた。
アニスは相変わらず剣を手入れするばかりで一言も喋らない。一方メリアはというとこちらもこちらで銃の手入れをしていた。
その静寂に耐えきれなくなったのかメリアがアニスに話しかけた。
「目…もう大丈夫なの?」
銃を手入れしながら話しかける。
しばらくして返答が返ってきた。
「…あぁ。」
あまりにも嘘っぽい返事だったのでメリアは少しアニスを試してみることにした。
「ねぇ。そこのオイル取ってくれない?」
そう言うとアニスはすぐそこの棚の上にあったオイルを取ろうとする。だがアニスは空振りをした。
その様子を見ていたメリアが
「どこが大丈夫なの?遠近感覚全然掴めてないじゃん。」
アニスは黙って何も喋ろうとしない。
「もぉ…」
ドガァアアン
ビービービービー
爆発音が聞こえたと同時に警報音が街中に響き渡る。
メリアは少し驚きながらもすぐに冷静さを取り戻し椅子から立ち上がり
「…私外見てくる。」
とメリアが言うとアニスは剣をしまいベットから降りた。
「アニスはここにいて!」
「俺のことは心配するな。十分戦える。」
メリアはアニスの説得を諦めしぶしぶ2人で行くことを了承した。
2人が少し急ぎ足でホテルから出ると人々が何かから逃げるように2人の目の前を通り過ぎた。
人々が来た方向を見ると大量の幻影獣がいた。
「…くそっあの爆発音は壁を壊した音だったのか。」
アニスは剣を抜き早くも戦闘体制に移った。
ふと見ると幻影獣の額に宝石のようなものが付いているのを発見した。
グサッッ
アニスはその部分に思いっきり剣を刺す。すると幻影獣はその場に倒れ込み生き絶えた。二人はその瞬間察した。こいつらこの額の宝石が弱点なのだろうと。
弱点がわかれば幻影獣は大した事はなく無事全てを倒せるかと思われた。
が、メリアは背後に何かしらの気配を感じ、振り向こうとする。すると突然、背後から強烈な衝撃が頭に襲いかかる。何が起こったのか理解する間もなく、視界が揺れ、周囲の光がぼやけていく。耳鳴りが響き渡り、意識が遠のきそうになる。頭の奥で何かが砕ける音がした気がした。
メリアはその場に崩れ落ち、地面に背をつけた。周囲がゆっくりと回り始める。心臓の鼓動が耳の中で鳴り響き、恐怖が全身を駆け巡った。
誰かが近づいてくる影が見えた。フードで顔が隠れており、顔は分からなかった。
記憶が断片的に切り取られ、メリアの意識は闇へと沈んでいった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!