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会場
舞踏会の華やかな雰囲気の中、俺たちは来場者たちに紛れ込むように静かに動いた。煌びやかなドレスやタキシードが行き交う中、誰も俺たちの存在に気づくことはなかった。暗い廊下を進むと、やがて薄暗い地下への階段が現れた。心臓が高鳴る。俺とネモフィラはその階段を一歩ずつ下り、秘められた世界へと足を踏み入れた。すると予想していた通り看守がいた。
俺たちが物陰から様子を窺っていると
ドガァアアンッ
と上から何かが壊れた音がした。
その数十秒後に、上で爆弾を設置しているはずのスターチスから連絡が来た。
俺は爆弾をもう爆破させてしまったのかと心配になった。
「大丈夫か?今の爆発音はまさか…?」
するとスターチスは慌てた声で
「違います!幻影獣が入って来たんです。私が対応しているので、そちらは任せました!早く救出してください!」
通話先では魔法を繰り出す音や何かの爆発音、幻影獣の声などが聞こえた。俺は通信を切り、看守に目をやる。するとさっきまでいたはずの看守はいなくなっていた。騒動に引き付けられて上へ上がったのだろうか?まぁ何にしろ都合が良い。今のうちにアグニスを助けよう。
無数の牢屋が並ぶ暗い廊下を進む中、俺は慎重に目を凝らした。すると、薄暗がりの中に、捉えられたアグニスの姿が見えた。
ぐったりとした様子で、座り込んでしまっている。
俺は牢屋の前に立つ。
「アグニス。助けに来たぞ。」
と言うとアグニスはゆっくりと顔を上げた。
そして俺の顔を見た途端急に立ち上がり俺に迫り
「どうして来たんだ!助けに来るなって言ったよね?!」
俺はアグニスの言葉を無視し、牢屋の鍵を開ける。そして強引にアグニスの手を引っ張る。だが、アグニスは牢屋から出ようとはしなかった。
「もう、人を傷つけたくないんだよ。僕が牢屋から出たせいでメリアはあんなことになった。なら、もう出ない方が良い。君たちを巻き込みたくないんだ。」
「俺は何としても君を助ける。」
「なんで!なんでそんなに僕に構うの⁉︎」
「仲間だからだろ!それと、俺の妹をあまり悲しませないでくれ。」
アグニスは黙りこくる。メリアのことを思い出しているのだろうか。
そんな事をしていると大声に惹きつけられたのだろう。
グガァアグゥウ
幻影獣が地下室に入って来た。俺は強引にアグニスの手を引っ張り看守が使ったであろうもう一つの階段に向かった。すると階段で看守が銃を構え、俺たちを待ち伏せしており、俺たちが来た瞬間に威嚇のつもりだろうか、
バンッ
天井に弾を放った。看守は俺たちに銃を突きつける。
息を呑んだ。心臓が耳の奥で鳴り響く。時間が止まったように感じ、周囲の音は消え失せた。
生き延びるために、何を選ぶのか。思考は暗闇の中で彷徨い、心は揺れ動いていた。混乱しており全然考えがまとまらない。前には看守が立ちはだかり、後ろからは幻影獣が迫って来ている。俺が思考を巡らせていると、
急に看守が魔法か何かの透明なものに拘束をされた。持っていた銃は落ち、奥からはスターチスが現れた。安堵したが、後ろから幻影獣が迫って来ていたのを思い出し、俺は落ちた拳銃を取り後ろに振り返り幻影獣を殺した。
「すみません。助けに来るのが遅れてしまって。」
「いや、大丈夫だ。上はどうなっている?」
「いや、それがですね。」
スターチスと会話をしていると誰か大勢が階段を降りてくる足音と話し声が聞こえた。
「来てください。銃声の音が聞こえたんです!」
「う〜ん。上も下も騒がしすぎな〜い?俺めんどくさいこと嫌いなんだけどぉ?」
俺たちは奴らが降りてくる前に急いで牢屋の中に隠れることにした。牢屋の中で話を窺っていると、
「え!看守君拘束されてるじゃん!喋れないようにされてるの〜?じゃあ俺が解いてあげる!」
と奴が看守の魔法を解いた後、看守はさっきまでのことをしゃべり俺たちはまだここに居るということを喋られてしまった。
俺たちは壁際に身を潜め、心臓が高鳴る音に耳を澄ます。薄暗い部屋の中、冷たい汗が背中を伝い、恐怖がじわじわと胸に迫る。
他にも会話をし、しばらくした後
「ふーんおっけー。じゃ、君用済みだからバイバイ。」
バンッ
看守を殺したであろう銃声が聞こえる。
俺の目は暗闇に慣れ、わずかな隙間から漏れる光に意識を集中させる。声が聞こえた。「お願いです、やめてください…」と、か細い響きが耳を劈く。
再び「バン!」。その後に続く静寂が、恐怖を一層深める。部屋の中の空気が重くなり、思わず息を呑む。
外の気配が変わり、誰かが近づいてくる気配を感じる。俺たちは身を縮め、心の中で祈る。「見つからないでくれ」と。冷たい汗が頬を伝い、再び心臓が高鳴る。
そんな時スターチスが小さな声で、
「私が貴方達を外にワープさせます。」
その言葉にネモフィラが食い気味に問いかける
「でも、貴方はどうするのよ?」
「大丈夫です。私も後からいきます。皆ここにいては時期見つかり殺されてしまう。だから、早く!」
そんなことを話している時、周辺を探していたやつらが苛立ち始め
「こそこそこそしやがってよぉ!そこにいるのはわかってるんだよぉ?早く開けろ!」
と奴は牢屋をどんどん揺らしている。そして、部下達が鍵を探し牢屋を開けようとしている。
「行きますよ。皆固まってください。」
周りが光に包まれる。
「くそ!ワープされる!」
まずい、このままではスターチスはワープができない。
「スターチス!お願いだから死なないでよ!」
ネモフィラが叫ぶ。
周りが見えなくなりそうな時、スターチスがニコッと笑った。その瞬間、
ドンッ
ビチャッ
ワープする間際、彼は俺たちの目の前で頭を撃ちぬかれ、彼の血が俺の顔に飛び散った。