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誰も知らない、高嶺の花の裏側3
第87話 〚二人の恒一が、同じ敵を見る〛
― 真壁恒一視点 ―
朝ごはんの席。
正直、
味なんて分からなかった。
視界の端に、
ずっと入ってくるものがある。
澪。
そして、
その両隣。
海翔と、玲央。
(……また、あいつか)
昨日も。
今朝も。
いつも。
澪の隣には、
必ず海翔がいる。
まるで、
最初から決まっていたみたいに。
(俺だって、同じ班なのに)
そう思うたび、
胸の奥がざらつく。
俺は、
澪に酷いことなんてしてない。
むしろ、
褒めた。
優しくした。
それなのに——
距離は、
縮まらない。
そのとき、
ふと気配を感じた。
視線。
同じ方向を見ている、
もう一人の存在。
西園寺恒一。
あいつも、
澪の方を見ていた。
しかも、
俺と同じ目で。
(……あ)
一瞬だけ、
言葉にならない感覚が胸に落ちた。
分かる。
あいつも、
同じなんだ。
澪の隣にいる
海翔を見て、
「なんであいつが」
って思ってる。
俺は、
無意識に西園寺の方を見た。
西園寺も、
こちらを見返してきた。
会話はない。
でも、
その一瞬で
全部伝わった気がした。
(敵は、あいつだ)
海翔。
澪の隣に、
当然みたいに座っているやつ。
澪に近づく人間を、
全部遮るやつ。
俺は、
何も奪おうとしてない。
ただ、
一緒に居たいだけだ。
西園寺も、
きっとそうだ。
なのに、
あいつは。
(守ってるつもりか?)
違う。
俺から見れば、
あれは独占だ。
澪が笑った。
それを見て、
海翔と玲央が
同時に反応する。
その瞬間、
胸の中で
何かが決定的に固まった。
(……あいつさえ、いなければ)
西園寺も、
きっと同じことを考えている。
俺たちは、
同じ名前で、
同じ立場で、
同じものを見ている。
味方ではない。
友達でもない。
でも——
敵は、同じ。
そう思った瞬間、
少しだけ気が楽になった。
一人じゃない。
俺だけが
おかしいわけじゃない。
そう、
信じたかった。
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