(ここは……)
現実でいうと、弓道をする所のような場所。少し古臭い建物だった。
中はボロボロで、どうも弓をひけるような場所だとは思わなかった。
「ミノルはどこから、いらしたのですか。」
コイツ、……新之丞にいったって、信じてもらえないだろう。そう思った俺は口を閉じそっぽを向いた。
何かを察した新之丞は、俺の真似をした。
「っ、真似すんな。」
「……」
俺がそういうと、新之丞はハッとした表情になった
頬を赤くし、ゆっくり微笑んで
「ミノル、やっと口を開いてくれましたね。」
(……調子狂うわ、)
不意にも、ドキッとしてしまった。
「_ミノル、矢をつかまつれ!」
矢と弓を俺の前に差し出し、胸を張って大きな声で俺にそう言ってきた。それも耳が壊れるほどの声量で
「……うるさい。新之丞」
「、なんと…」
本人曰く無自覚のようだった。タチが悪い
「やらねぇよ…」
差し出した弓やらなんやらを俺は断った。
新之丞は、諦めが早く手を引っ込めたと思ったらこの世の終わりみたいな表情をして俺にそう言ってきた
「いづれもいづれも情けなし」
昔の言葉は理解できないが、このイライラくる感覚。これは悪口と同類だろう……
「射よ。ミノル~!」
にっこにこの笑顔で俺の方を見てきた。こんな世界、早く抜け出してやる。
そう思っていた。いや、もはや願っていた
俺も弓にはそんな詳しくはないが、取りあえず構えてみることに。そうしたら遠くにいた新之丞は、俺に近寄ってきた
「その服装は、動きにくくないか。」
(人のこと言えねぇだろ…!)
なんて怒りを心の中におさめて、笑いながら大丈夫と答えた。そういっても新之丞は、いや…という反応をしている
(俺にどうしろと…)
なんて考えていたら、新之丞は俺の背後に周り腕周りを触ってきた。
「ヒラヒラしているのは、少し危ない」
冷たい手がどんどん迫ってくるのに耐えきれず俺は、焦って弓を放ってしまった
しまったと思ったけれど、綺麗な音がなった。
「弦音……」
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!