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三文小説
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阿部が次に目を覚ました時には、病室の白い天井が目に入った。
「……。」
ぼんやりと視線を動かす。
左足にはしっかりと包帯が巻かれ、痛みはあるものの、治療は終わっているようだった。
「……あべちゃん!」
声に振り向くと、ベッドの横で目黒が阿部の手を握ったまま眠っていた。
その声に反応し、目黒は勢いよく目を開ける。
「あべちゃん!」
「起きた……。」
安心したように何度も頷く目黒。
その目は真っ赤に充血し、疲れ切った表情をしていた。
病室を見回すと、岩本、深澤、ラウール、康二、佐久間も駆け付けていた。
「あべちゃん!」
佐久間が真っ先に立ち上がる。
「本当に心配したんだから!」
「ごめん。」
阿部は小さく笑った。
「心配かけちゃったね。」
深澤は涙ぐみながら笑う。
「笑えるなら大丈夫そうだ。」
「無理すんなよ。」
ラウールもほっと胸をなで下ろす。
「本当によかった……。」
康二は目を潤ませながら言った。
「あべちゃんもしょっぴーも助かってほんまによかった。」
岩本は静かに阿部の肩へ手を置いた。
「よく頑張ったな。」
「ありがとう。」
阿部は一人ひとりの顔を見ながら、小さく頭を下げた。
「みんな、ごめん。」
「ありがとう。」
しばらく穏やかな空気が流れる。
その時、阿部が目黒を見た。
「めめ。」
「ん?」
「甘い物が飲みたい。」
目黒はすぐに頷いた。
「分かった。」
「何がいい?」
「いちごオレ。」
「買ってくる。」
目黒は立ち上がると、阿部の頭を優しく撫でた。
「すぐ戻る。」
そう言って病室を出て行く。
ドアが静かに閉まった。
阿部はその音を確認すると、小さく息を吐いた。
「……みんな。」
その声色に、メンバー全員の表情が変わる。
「お願いがある。」
岩本が静かに頷く。
「うん。」
阿部は少しだけ目を伏せた。
「本当は。」
「俺も。」
「めめも。」
「全然、大丈夫じゃない。」
病室が静まり返る。
「俺は犯人に連れて行かれた時のことが頭から離れない。」
「でも。」
「それ以上に。」
「めめの顔が忘れられない。」
阿部はゆっくりと言葉を続ける。
「救急車で見た。」
「今まで見たことないくらい真っ青な顔だった。」
「ずっと震えてた。」
「俺を安心させようとしてたけど。」
「めめも怖かったんだ。」
深澤は何も言わずに聞いている。
阿部は静かに微笑んだ。
「だから。」
「少し休みが欲しい。」
「俺とめめ。」
「二人で。」
岩本が尋ねる。
「何か考えがあるのか?」
「うん。」
阿部は頷いた。
「まだうまく言葉にできないけど。」
「このまま仕事に戻ったら。」
「俺もめめも。」
「きっと悪い方向に向かっちゃう。」
「だから。」
「ちゃんと向き合いたい。」
「二人で。」
ラウールが優しく笑う。
「あべちゃんらしいね。」
「自分だけじゃなくてめめのことまで考えてる。」
阿部は少し照れたように笑った。
「恋人だから。」
「守りたい。」
その言葉に、康二は小さく頷いた。
「ええ考えやと思う。」
佐久間も続く。
「蓮、一人で抱え込むタイプだからな。」
「あべちゃんがいてくれた方がいい。」
最後に阿部は全員を見渡した。
「もし。」
「俺たち二人だけで乗り越えられなかったら。」
「その時は。」
「絶対みんなに連絡する。」
「だから。」
「その時は助けてほしい。」
岩本は迷うことなく答えた。
「ああ。」
「いつでも。」
深澤も笑う。
「夜中でも飛んで行く。」
「俺も。」
「俺もや。」
「もちろん。」
ラウール、康二、佐久間も次々に頷く。
岩本が静かに締めくくった。
「お前たちは二人じゃない。」
「俺たちは九人だ。」
「だから、限界まで頑張る必要なんてない。」
阿部の目に涙が浮かぶ。
「……ありがとう。」
その時、病室のドアが開いた。
「ただいま。」
目黒が紙袋を持って戻ってきた。
「あべちゃん、いちごオレ買ってきたよ。」
何も知らない目黒へ、阿部はいつも通りの笑顔を向けた。
「ありがとう、めめ。」
その笑顔を見て、部屋にいたメンバーは誰も何も言わなかった。
阿部が「二人で向き合いたい」と言った意味を、全員が静かに理解していたからだった。
コメント
1件
ああああもう心臓ぎゅーってなったよ😭💕 阿部ちゃんが「めめの顔が忘れられない」って言うとこ、めっちゃエモすぎて泣いた……。自分だけじゃなくて目黒のことまで考えて、二人で向き合おうとする姿勢が尊すぎる。しかも「限界まで頑張る必要なんてない」「九人だ」って岩本さんの言葉、チーム愛が深くて震えた。最後のいちごオレのシーン、何も知らない目黒に笑顔を作る阿部ちゃんが切なくて、でも温かい。この作品、マジで推すわ…!!🌸💞