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「南の海、ですか?」
おつるさんから呼び出されたので行ってみると、そんなことを言われた。
「あぁ。南の海に行く用事があってね、ジェイデンは世界を見たいんだろう? ついてこないかい?」
「はいっ、俺がいていいのなら、行ってみたいです!」
俺がそう答えると、おつるさんは微笑んでくれた。おつるさんが俺のことを気にしてくれてることはとても嬉しいことだ。
それから数日後、俺はおつるさんの船に乗って南の海へと出発した。
「おぉ…っ」
目の前に広がる光景に感嘆の声を漏らす。やはり海はいい。
南の海はそこまで治安が悪いところじゃないとは聞いているが、それでも海賊や、その他ギャングなんかは存在するらしい。
「少し自由に街を見てきます」
「日が暮れるまでには船に戻ってくるんだよ」
おつるさんはそう言って俺を送り出してくれた。
俺は早速街の方へ足を向ける。初めて見るものばかりで目移りしてしまう。この島の建物はレンガ造りが多いようだ。レンガの街っていうのもお洒落だな。
しばらく歩いていると、広場のような場所に出た。そこでは市場が開かれていて、たくさんの人で賑わっている。屋台では果物を売っていたり、魚介を売っていたりしている。
「よう兄ちゃん、今朝採れたての新鮮なフルーツだよ! 買っていかないかい? 安くしとくよ!」
そう話しかけてきたのは、オレンジとレモンがたくさん入った籠を持ったおじさんだった。
「いいんですか? じゃあオレンジ貰っちゃおうかな」
そう言うとおっちゃんは嬉しそうに笑って、俺にオレンジを渡してくれる。おまけにリンゴまで貰っちゃった。
おまけのリンゴをかじりながら、人混みを縫うようにして歩く。そうして辿り着いた先は小さな公園。ベンチに座って一息つく。
「ふぅ……」
今日は天気もいいし、絶好のお出かけ日和だな。