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第4話(嫉妬)
次の日の放課後。
いつもの階段で、また3人。
昨日のこともあって、距離は最初から近い。
(近いっていうか……近すぎる)
「けちゃ、ぼーっとしてる」
あっとくんが顔を覗き込む。
「してないです」
ちょっと逸らした瞬間——
「けちゃー!」
また、あの声。
下を見ると、ぷりっつ。
「あ、けちゃ!昨日のやつさ——」
「え、あ……はい!」
自然に立ち上がろうとした、その瞬間。
ぐい、と腕を引かれる。
「……待って」
まぜた。
低い声。
「どこ行くの」
「ぷりっつが呼んでて……」
そう言うと、
「聞こえてる」
短く返される。
でも、手は離さない。
その横で、
「すぐ終わる?」
あっとくんが優しく聞く。
「え、あ……多分」
答えた瞬間、
「じゃあここで話せばいいじゃん」
さらっと言われる。
「え?」
「わざわざ行く必要なくない?」
にこっと笑うけど、逃がす気ゼロ。
(え、これどうすれば……)
下から、
「けちゃー?」
ってまた呼ばれる。
少し困ってると——
「……呼んできて」
まぜたがぼそっと言う。
「ここに」
「え、でも……」
「いいから」
軽く背中を押される。
結局、階段の途中でぷりっつと合流。
「どうしたの?」
「昨日のプリントさ——」
普通に話してるだけ。
なのに——
背後の圧、すごい。
(絶対見てる……)
チラッと上を見ると、
2人ともこっち見てる。
目、逸らさない。
怖いくらい。
「……でさ——」
ぷりっつが少し近づいてきた瞬間。
「——終わった?」
上から声。
振り向くと、あっとくん。
いつの間にか降りてきてる。
「え、まだ——」
「そっか」
にこっと笑ってるのに、距離が近い。
そのまま自然にけちゃの肩に手を置く。
(え……)
さらに——
「それ、後ででもよくない?」
まぜたも隣に来る。
完全に、挟まれる。
ぷりっつ、ちょっと戸惑ってる。
「いや、別に今でもいいけど……」
「今じゃなくていい」
まぜたが即答。
「こっち優先」
その言葉に、一瞬空気が止まる。
(え、ちょっと待って)
「先輩……?」
戸惑って見上げると、
「だってさ」
あっとくんが少しだけ笑う。
「昨日言ったでしょ?」
「……え?」
「その顔、俺らの前だけでいいって」
心臓、止まりそう。
そのまま軽く引き寄せられる。
「ほら、もういいでしょ」
優しい声なのに、逃がさない。
その横で、
「ぷりっつ、悪いけど」
まぜたが淡々と言う。
「後にして」
完全に線引き。
ぷりっつも空気読んで、
「あ、うん……じゃあまた今度!」
って去っていく。
静かになる階段。
その瞬間——
「……やりすぎた?」
あっとくんが苦笑する。
でも手は離さない。
「別に」
まぜたは短く返す。
でも——
「近すぎ」
って、さらに引き寄せる。
(え、ちょっと……)
完全に2人の間。
逃げ場なし。
「……先輩たち、ずるいです」
小さく言うと、
「何が?」
「言って」
2人同時。
「……嫉妬してるみたいです」
勇気出して言うと、
一瞬、静かになる。
それから——
「みたいじゃなくて、してる」
まぜたが即答。
「普通に嫌だから」
そのまま、少しだけ強く手を引く。
反対側で、
「取られたくないし」
あっとくんが優しく言う。
でも目、ちゃんと本気。
(これ……)
軽いじゃない。
ちゃんとした嫉妬。
でも——
嫌じゃない。
むしろ、嬉しいって思ってる自分がいる。
「……じゃあ」
小さく息を吸って、
「先輩たちのとこにいます」
そう言うと、
2人とも少しだけ驚いて——
すぐに笑う。
「それ、反則」
「ほんとそれ」
でもそのあと、さらに距離が縮まる。
もう完全に、逃げられない。