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第14話
その気配は……気の所為だったような……
私は、固まって動けない黒猫を抱き抱えて、散策魔法を発動した。
散策魔法……索敵とは違って、情報量の多い魔法だ。否、そのままの情景を見ることができる。魔力消費はトントンだけど、頭がパンクして、使えない人も多い。
私も、好きではない。というから好きな人を見つけられたら、大したもんだ。
「ん? 何を……」
「変な気配がしたの。これから、魔法は使わないで」
「あぁ」
黒猫は、私の腕から飛び降りて学校の庭を散策した。
数分後。
「見つけたっ! ……ちょっと待て。こっちにくる」
黒猫が突然口を開いた。
「え?」
「みぃつけたぁっ」
二チャリと笑う、クソきしょおじさんが現れた。
フードを深く被り、気色悪い口元しか見えない。日本の偏見で言うと、口臭が酷そう。
……偏見過ぎたかな? 日本国民に起こられるな。こりゃ。
私が、見た目で少し怯むと黒猫が先に瞬間に気絶されられて、私の首を絞めた。
「清水を殺した実力者よぉっ。バレバレなんだよねぇ」
「離せっ!!!」
扉が、こだわりの無いまま勢い良く開いた。ミヒャエルさんだった。
「おやおや。自分より弱い人に守られるのかい? 笛吹の少女さん、とやらよぉ!」
こいつの手に入る力が三十倍くらいになった。
「あげぁっ……」
私は情けない声をあげてしまった。
苦しいよ……
助けてっ……!
「彼女を、離せっ!!!」
そう言ってミヒャエルさんは、物凄く酷い――ブレている軌跡で……剣を振った。
でも、意外にも正確だった刃の軌跡がその男に当たった。
そのまま血をまき散らした男と、首をしめられていた私は床に倒れた。
でも私は、魔法で雷を体内に流し、治癒魔法で最低限の傷を治して自分の体を奮い起こした。
男は、ヨロヨロと立ち上がった。
何やら嫌な魔力の動きをしている。
「お前っ、道連れにしてやるっ……」
ミヒャエルさんに向かって最後の魔力を絞り出して、大きな風魔法を発動させた。
――駄目っ!!
そう声になる前に、爆発は収まっていた。
「ミヒャエルさんっ!」
「ううっ……」
あぁっ……また、やってしまった。
黒猫に視線を移したけど……頭を強く撃ったのか、気を失っていた。
「はぁっ、はぁっ……」
「笛吹っ! 俺はまだまだ下っ端だ。もっと強いが来るはずだっ……俺はもう長くない。伝言を頼む。俺を殺したからには、簡単に死ぬなよ。『電撃の賢者』をな」
その男は、仰向けになりながら、虫の息で口を開いた。
「『電撃の賢者』……よし、覚えたよ。お前のこと」
「ありがとう。『笛吹の少女』……いや、現代版、『笛吹の賢者』か」
「……さようなら」
私はそう呟いた後、苦手な治癒魔法で、ミヒャエルさんの傷を治そうとしたけど、そこも対策済み……
ならば……
私は、内線の魔導電話の受話器を取った。
勿論、相手は治癒魔導師。
数十分後。
応急処置は終えて、後は治癒魔導師を待つだけ。
黒猫は、出血無し。打撲のみ。
私は……首の跡が気になるけど、首の骨は折れてない。ミヒャエルさんは……
「っ……うっ……」
……お腹に大きな切り傷。それと、体中に無数に打撲や切られたり……出血はあるものの、大した出血では無い。それに、もう新たに血は流れてない。
でも、意識があるのだ。苦しそう。
それに、これからどう病状が変わるか分からない程の傷のスケール。
例えば、菌が入ったりしたら……感染して、最悪、内臓に転移。
「だ、いじょうぶか?」
「喋らないでっ! 傷口がっ……」
私は、自分の手を氷魔法で冷やして黒猫の打った部分にあてている。
だから、今こうして何かできる。って事は無い。
ミヒャエルさんの傷は冷やしたとて、血が止まってるし、何かできるって事は無い。
……強いて言うなら、喋らないで安静にしている事くらいね。
「……きか、ないのか……っ……」
ミヒャエルさんは、治癒魔法が効かない事に対してだろう。
……私が、私が……術を持っていればっ……
扉が勢い良く開いて、治癒魔法使いが二人、入ってきた。
「「ミヒャエル様っ!!!」」
「こんな感じだっ……出血がまた始まれば、死ぬかもしれないがな……」
私は、誰にも顔を合わせられない。
もう、今世も……大切な人、守るべき人を守れてない。私が訓練した間は……無意味だったのっ……
「医務室へ運びますので、横になって下さい」
「あぁ……分かった」
私と黒猫の事を無視して、治癒魔法使いの二人とミヒャエルさんは、嵐のように過ぎ去って行った。
コメント
1件
こはるさん、第14話読んだよ〜!😭💦 もう冒頭から緊張感やばかった…!黒猫と一緒に探索中にあのクソきしょおじさん登場シーン、首締められる描写ホントに怖かった🥺💔ミヒャエルさんが助けに入ってくれたのは嬉しかったけど、代わりに重症負っちゃって…「また大切な人を守れなかった」って自分責める主人公の心情にもう胸がぎゅってなったよ…! でも!現代版『笛吹の賢者』って呼ばれたシーンはなんか熱かった…✨続きめっちゃ気になるー!次の話も楽しみにしてるね!🌸💕