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【お願い】
こちらはirxsのnmmn作品(青桃)となります
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ご本人様方とは一切関係ありません
ワードパレットでリクエストいただいた3つの言葉(サブタイトルになってます)を本文中に使用してのお話になります
その日、事務所から帰ってきたないこは大きな段ボールを抱えていた。
かなりの重量がありそうで、リビングの床に置いた途端鈍い音がする。
徒歩圏内とは言え、これを持って帰ってくるのは大変だっただろう。
「なんか色々持たされたんだけど」
それは今までの撮影で使った私物や、もう使うことはないだろう小道具の山だった。
既に不要になったものとは言え、社長の許可なく勝手に捨てるのはスタッフからしたら気が引けたようだ。
処分を体よく委ねられた形だ。
「うっわなつかし」
その中の一つを取り上げると、いつぞやのスタジオでリスナー向け実写写真を撮ったときに使った動物のぬいぐるみ類。
自分たちのキャラぬいでもない辺り、相当初期の頃に使ったものだ。
…ようこんなん保管しとったな。少し埃をかぶりかけているそれに小さく咳こむ。
「あれ、何だっけこれ」
同じように段ボールの中から何かを引っ張り出してくるないこ。
じゃらと金属音が立つ。
引きずり出したそれは、「金属」なんて言いながらもまがいものでしかない「おもちゃの手錠」だった。
「あー夏ツの映像で使った手錠か。…何でこんなんが入ってんだろ。俺の私物でもねぇわ」
ないこが首を捻りながら、ぽいとテーブルの上に放りだす。
そしてそのまま次の物を手に取ろうとしたとき、タイミングよく俺のスマホが鳴った。
通話を知らせる画面を覗き込むと、そこには2番の名前が浮かんでいる。
「はい」
『あーいふくん?出た出た』
後ろに誰かいるのか、「出た出た」の部分だけ少し声が遠くなる。
満足そうに呟いたかと思うと、すぐにこちらに向き直るかのように声が近くへ戻ってきた。
『ないちゃん帰った?どうせいふくん、またないちゃん家にいるんでしょ?』
大きなお世話だ、そう言いかけた言葉は図星なので飲み込む。
代わりに「…何?用件は」と応じた。
こちらのそんな塩対応も露とも気にせず、ほとけは言葉を継ぐ。
『ないちゃんがスタッフさんに小道具類とか私物たくさん持たされてたからさぁ、その中に手錠ねじ込んだんだよね』
「……お前の仕業か、あれ」
『僕だけじゃないよ。しょうちゃんとりうちゃんもいたもん』
さらりと答えるほとけの後ろで、何やら抗議するような声が聞こえてくる。
…どうやら後ろにいるのはしょにだとりうらのようだ。
『最近忙しくて2人だけの時間がなかなか取れないないふに、僕たちからのプレゼントだよ』
わざとらしく芝居じみた声色を作り、しらじらしくもそんなセリフを吐く。
恩着せがましく言ってくる割には、内心おもしろがっているのがばればれだ。
「はぁ…それで何で手錠なん」
『それでお互いの手繋いで、2人だけの甘い時間を過ごしてみてよ』
「……いらんやろこんなん」
吐き捨てるように言った俺に、「…分かってないね、いふくん」と今度は説教じみた声音に変えてきた。
『ないちゃん本当はあの撮影の時、嫉妬してたと思うんだよねー。だってあにきと手錠で繋がれてさ、いふくんめっちゃ嬉しそうにしてたじゃん』
「……」
『ないちゃんにも同じことやってあげてよー。ないちゃん手錠とか絶対好きだし』
あほか、という言葉は寸でのところで飲み込んだ。
代わりに適当にあしらって一方的に通話を切る。
最後「ちょ、ちょっと待って!最後まで聞いて…!」なんて聞こえた気がするけれど、この際無視だ。
「いむ?なんだって?」
スマホ越しに声が漏れ聞こえていたのか、ないこが目を丸くしてこちらを振り返った。
手にはこれまた段ボールから出してきたらしいパペットタイプのぬいぐるみをはめて一人で遊んでいる。
「毒にも薬にもならん話やった」
「ふは、何それ」
眉を下げて笑って、ないこは箱の中から次のものを引っ張り出し始めた。
それを横目に、俺はさっきほとけが話題に挙げていた手錠を指に通してくるくると回す。
「…ライブ映像でこれ使ったやん」
さっき自分が投げ出したばかりの物を俺が拾い上げていることに目を丸くして、ないこはこちらを振り返った。
「ん? うん」
「あの時俺があにきと繋がれて嬉しそうやったから、ないこが絶対嫉妬しとるはずやってほとけが言うんやけど」
「は?何それ」
更に下げた眉で、苦笑を漏らすないこ。
「そんなんで嫉妬するかっつーの」なんてぼやく。
「ないこにも同じことしてやれって。絶対手錠とか好きやからって」
「すげぇ偏見持つじゃん俺に対して!」
げらげら笑いながら、ないこはそれでも気分を害した様子もなく手にしていたものを段ボールに戻した。
それ以上特別おもしろいものを見つけることはなかったのか、箱の中の物色に飽きたようにソファに座り直す。
「な。偏見もいいとこやな。ないこはそんなんで喜べへんよな」
そう答えて、俺は手錠を回したままないこの隣に腰かけた。
そしてもう片方の手で、ぐいとないこの手首を掴む。
「ん? え?」
目をぱちぱちとさせながら、ないこは俺の顔を見据えた。
その視線を受け流し、俺はそのないこの細い左手首にかしゃんと手錠をかける。
そしてそのもう片方の輪っかは、ほとけに指定されたように俺の手にはめるわけではない。
もう片方も、躊躇なくないこの右手首にかけた。
「は!? 何してんのまろ!?」
「何って…ないこはこっちの方が好きやんな。俺と片方ずつ繋がれるより、両方自分にかけられて身動きできんようになったところ攻められる方が好きやろ?」
「勝手に決めんな…!」
胸の前でかけられた手錠は鎖の部分が短く、両の手を押し出すことも引き戻すことも容易にはできない。
じゃら、と軽い金属音が無情に鳴るだけ。
おもちゃとは言え、かなり力を入れて抗わない限りそう簡単には外れないだろう。
自由の効かない両手では、俺の体を押し戻そうにも抵抗しきれないらしい。
それを良いことに、ないこの肩をとんと押した。
バランスを崩した細い体がソファの上に沈む。
「まろ、待…っ!」
「こういうん好きなくせに」
「は!? それはお前だろうが!エロ親父みたいなこと言いやがって…!」
抵抗できないないこのシャツの裾に、そっと手を差し込む。
素肌の上を滑るように脇腹を弄るとびくりと体が跳ねた。
いただきまーす、と唇を持ち上げて笑む。
そのまま上から覆い被さるようにして、その薄い唇を塞いだ。
コメント
3件
ねえ!!!ほんとに好きですぅ・・・!!!😭✨
コメント失礼します❣ 前からあおばさんの書く話が好きでして、さっき通知来てめっちゃ嬉しく思いました。(◍•ᴗ•◍) もしかしての話ですけど水くんが言おうとして他の鍵に関しての話ですかね。アニメとかにある鍵が見つかんなくて解けないみたいのだったらいいなって思っちゃいました。🤭 これからも楽しみにしてます。
このお話他サイトでもよく拝見するくらい大好きなんです…、!!ここでも見れてとっても嬉しいです…ෆ あおば様の赤水さん、たまーに白さんが青桃オタクになるのが特に好きでして…✨✨ 一緒に手錠を付けるのではなく桃さんの両手に付けるところが青さんらしくて今日もまた青桃の沼にハマっていく一方ですꉂ🤭︎💕 通知来て飛びついちゃいました、投稿ありがとうございます…!!