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【お願い】
こちらはirxsのnmmn作品(青桃)となります
この言葉に見覚えのない方はブラウザバックをお願い致します
ご本人様方とは一切関係ありません
ワードパレットでリクエストいただいた3つの言葉(サブタイトルになってます)を本文中に使用してのお話になります
他サイトで書いたものをコピーしているのですが、もう既にどれを移してどれを移していないのか分からなくなってきています…重複していたらごめんなさい!
「囲い込まれる 溜め息 びくとも」
仕事を終え、何気なく開いたチャットアプリで他の連中が会話していた履歴を見つけた。
それを目にした瞬間、「…っおつかれさまです!」と周囲に声をかけて駆け出す。
すれ違う同部署の何人もが「どうした」みたいな顔で振り返ったけれど、説明する理由もそのつもりもなくてそのままビルの外へと飛び出した。
履歴に残された会話はもう数時間前のものだ。
今日も今日とて残業を強いられた自分の境遇を恨む。
もうすぐ日付が変わりそうな時刻だけれど、何とか手遅れにならないことを祈るしかない。
夕方やり取りされていたらしいグループチャットには、事務所のメンバー、スタッフで宅飲みをしようなんていうやり取りが残されていた。
人数はそれほど多いわけではなく、場所はないこハウスでなんて指定をされている。
その勝手気ままな連中のやり取りに、急に話題を振られたないこが「え、うち?まぁいいけど」なんて返事をしていた。
ないこは実は、気を許した相手には割と受容型の人間だと思う。
活動面でも、よっぽど問題がない限りは誰かの提案を頭ごなしに蹴ることはまずない。
「いいね、それやってみようよ」と割と受け入れ態勢でいるから、プライベートなこんな飲みの提案も、いくら急であっても自分に他の予定がない限りは拒否することはあまりない。
いつだかの配信で、「うち来た人に家で何されても平気」なんて言ってたこともあるくらいだ。
よく言えば「全受容bot」、だけど俺としてはもっと危機感を持ってほしい。
宅飲みは特に、周囲への身バレの危険性が低く油断が生まれるせいで、箍が外れる可能性が高い。
酒に煽られて正常判断をなくした人間なら、酔ったないこに変な気を起こしてもおかしくはないだろう。
メンバーやスタッフを信用していないわけではない。
だけど、飲み会と称して囲い込まれたないこに、1人くらいはそんな気を起こしてしまう人間が出てくることもないとは言い切れない。
鍵があいたままのないこハウスの扉を、勢いよく引き開く。
もう飲み会が始まってかなり時間が経っていたせいか、チャットで見た参加者の数よりも玄関に並んだ靴の数は大分減っていた。
自分も乱雑に靴を脱ぎ散らかし、そのまま廊下をぐいと進む。
リビングではまだ楽しそうに飲んでいる奴らと、すっかり床で眠ってしまっている奴ら。
…ないこの姿はない。
嫌な予感がして俺は更に奥へと足を進めた。
「あれ、まろちゃんやん。おつかれー」なんて赤い顔で挨拶を寄越してくるしょにだに小さく頷き、足元で眠っているほとけを踏み倒して奥へ進む。
一番奥は寝室だ。少し扉が開いた隙間から、妙な空気感が漂ってくるのが感じ取れた気がする。
「…キス、してもいいですか」
聞き覚えのあるスタッフの声がした。
それに少しの間が開いた後、「…ん、いいよー」なんてあっけらかんとした別の声が続く。
…あんの全受容botめ…こうなることを危惧していたんだ俺は。
「いいわけないやろ!」
大声を張り上げながら、扉をバンと勢いよく開く。
でかいベッドの上に対峙するようにして座っていた2つの影。
スタッフの方は俺の声にびくりと肩を震わせ慌ててないこと距離を取ったけれど、ないこはこちらを振り向いて「あ、まろだー」とへらりと笑ってみせた。
すみませんとか何とか言いながら逃げるように部屋を出ていくスタッフと入れ違いに、俺はベッドの方へとずかずか歩み寄る。
後方でドアがぱたりと閉まる音と同時に、ないこは上目遣いにこちらを見上げてきた。
…何の他意も反省もない、無垢な笑みで。
「まろ仕事はー?今日残業じゃなかった?」
「何時やと思とるん」
「え、今何時?」
時間の感覚すら危ういほど飲んだのか。
思わず盛大な溜め息を漏らし、ないこの座るベッドの縁に自分も腰かけた。
首だけ傾け肩越しに振り返る形で、ピンクの瞳を恨めしそうに見やる。
「『いいよ』じゃないやろ、『いいよ』じゃ。スタッフにキスさせんなよ」
「してもいいかって聞かれたからじゃん。別に減るもんじゃなし」
「減るか減らんかの問題ちゃうねん」
呆れたように言うと、何がおもしろかったのかないこはげらげらと笑いだした。
こうも整った顔だとどんな笑い声でも下品さを感じないから不思議だ。
「別に付き合ってる人がいるわけじゃないから、誰に義理立てる必要もないじゃん?」
「だからそういう問題ちゃうねん。倫理観バグってない?」
どんなに酔っていても、思考回路は正常範囲を逸脱していないらしい。
いつも通りのないこらしい理論を、さも当然のように並べ立てられる。
分かってるよ、おかしいのはきっと俺の方だ。
ないこのことが好きなのに、当の本人とどうこうなろうなんてつもりがない。
ないこには自由が似合っていて、好きなように飛び回っていてほしい。
そう思う感情が一番大きいはずなのに、胸の奥底では誰のものにもなってほしくないとも思っている。
だからこういうことが起こりそうになると、全力で阻止しようとしてしまう。
自由な君を閉じこめておけるような、どんな時でもびくともしない頑丈な檻が欲しい。
相反するようなそんな想いを燻らせている自分が、きっと一番おかしいんだと分かっている。
「じゃあまろがちゅーする?」
じゃあ、ってなんやねん「じゃあ」って。
人が思考に耽っているというのに、こいつはそんなこと慮ってくれるわけもない。
酔っているせいか、話の筋すら通ってない。
だけど三日月みたいに楽しそうに細められた目がこちらを見返したせいで、俺は一瞬で自分の思考すら放棄してしまった。
…きっと、最初からそうだった。
ないこ相手にこちらの「理屈」や「理論」…果ては「言い訳」なんてものはもっと通用しない。
「……」
上体を更に捻って、ピンク色を振り返る。
そっと左手で頬に触れると、くすぐったそうに笑ってないこが首を竦めた。
酒のせいで赤みが差した白い頬の上に、撫でるように指先を這わせる。
まるでこちらの次の動向を楽しむかのように緩められた唇。
その上を親指でするりとなぞった。それからそっと触れるだけのキス。
目を閉じれば重ねられたそこからじんわりと熱が伝わってくるようで、まるでずっと待ち望んでいた幸福感のようなものだと気づいた。
重ねただけの唇を、やがてないこがゆるりと開く。
一瞬迷いが出たことを見透かされたかもしれない。
それでも次の瞬間、開いたそこに自分の舌を差し込むと、キスしたままでないこが「ふふ」と笑みを漏らした気がした。
…いつもそうなんだよな。
活動面でも何でも、こちらを触発して誘ってくるのは最初からお前の方。
だけどそれ以上は何もせずにただ待ちの態勢でいる。
「決めて一歩踏み出してくるのはまろの方だよ」なんて言いでもするかのように。
だんだんと深くなるキスに、ないこはわざと自分の体を後ろに倒した。
ベッドに身を沈めるあいつに引っ張られるようにして、その上に覆い被さる。
「仲間」「相棒」「右腕」…そんな形容を受ける立場から逸脱した行為に踏み切ったのは、今回が初めてだった。
だけどどうせ、酔ったないこは明日には何も覚えてないだろう。
覚えていたとしても「キスくらい誰としても減るもんじゃないし」なんてあっけらかんといつも通り宣うだけだ。
それなら…と、俺はないこの頬と頭を抱き寄せるようにして包み込む。
今夜だけでもいい。そんな想いで、舌を更に深く絡め合わせた。
翌朝…いやむしろ昼前か。目が覚めると、昨日飲んでいた連中は皆帰っていったところだった。
飲み食いして荒れていたリビングを総出で片付けた後らしい。
昨日の惨状が嘘のように、そこはいつも通り片付いていた。
「おはよまろ。もう皆帰ったよ」
もうすっかり「御用達」みたいになっているもこもこのルームウェアを着たないこは、最後の仕上げにテーブルを拭きながらそう言った。
「…あぁ、うん」と曖昧に頷き、俺はないこにはばれないようにほっと胸を撫で下ろす。
…この分だと昨日のキスはやはり覚えていないらしい。
「まろは今日会社休みだっけ?」
「…うん。土曜やし」
「ふーん」
ローテーブルを拭き終えたないこは、満足そうに頷いて立ち上がった。
それから布巾をキッチンへ投げ置く。
ゆるりとした歩調でこちらに歩み寄ってきたかと思うと、俺のすぐ目の前でその足を止めた。
だけどその距離感があまりにも詰められすぎている気がして、こちらは動揺の色を隠せない。
「…え、なに? 近ない?」
「えー?昨日あんなキスしといて何言ってんの? 今更」
言われた次の瞬間、目の前が暗転した気がした。
頬の横を冷や汗が伝っていくような感覚を覚える。
ぱくぱくと口を開閉させた後、何とか震える声で言葉を絞り出した。
「な…、え……?覚えとるん?昨日のこと…」
「むしろなんで忘れてる前提になってんの? いくら酒に酔ってても忘れるわけないだろ」
それに、とないこの唇がそのまま言葉を継ぐ。
「さすがに『キスは減るもんじゃない』って言ったけど、昨日のまろのあのキスがそれとは違う…どういう意味かくらい分かるわ」
絶句して硬直した俺に、ないこの手が伸びてくる。
昨日の俺がそうしたように、頬に触れた指先が肌の表面を滑らかにすべった。
「それとさぁ、まろは多分俺のこと『誰かひとりに縛られない自由人』みたいに思ってんだろうけど…まだまだ解釈が甘いね相棒」
楽しそうなその優艶な笑みは、まるでこちらの心を全て見透かしているかのようだった。
「一人に決めたら執着するし、めんどくさいタイプだよ俺」
まろかわいそ、覚悟しといてねなんて他人事のように続ける唇が、弧を描いて近づいてくる。
言われた言葉の意味を脳内で咀嚼しながら、茫然とそれを眺めるしかない。
少し背伸びをしたないこが、触れ合いそうになった唇で続ける。
「とりあえず、昨日の続きしよっか」
囁くような艶やかな言葉は、いつも通り誘うだけでそれ以上の距離を詰めようとはしてこない。
いつだって、最終的な決定権はわざとこちらに委ねてくる。
沸き起こる衝動には抗えず、思考なんて奪われたように頭は正しく回らない。
これまで堅実に生きてきたはずの自分にしては珍しく、目の前の唇に噛みつくようにキスをした。
コメント
7件
作ってくれるのもう感謝しかないです、ありがとうございます🙏✨ 勉強の合間に見て元気ももらってるので、また頑張ります💪🔥
あー!!別サイトで今さっき見てました🥹🥹もう一度見れて幸せです( ᴗ ̫ᴗ )♪
通知に飛びついてきてしまいました…ここでは見たことがないのでご安心ください!😖🎶 青さんの自由に飛び回っていて欲しいという想いが堪らなく好きなんです…т т 桃さんの相棒呼びでキャパオーバーでした…ෆ 歩み寄って決定的な部分は決めてもらう桃さんが策士で侮れないですっ😖💘 好きなお話で何度も読み返しているものなのでここでも見れて嬉しいですっ…𐔌ᵔ ܸ . .ᵔ ꣓