【茉奈ちゃんが嘘をついてるとは思ってないよ。ただ、それを受け入れるには多少時間が必要かもしれないけど…】
【ありがとう。信じてくれて】
【ちなみに、茉奈ちゃんの前世って?】
【知りたいの?】
【そりゃあ、知りたいよ…】
【教えな~い。その方がいいって】
【はぁ…?】
【それよりも、茉菜がいつ死ぬか伝えといた方がいいよね?】
【わかるんだ?】
【何度も死んでるからね…】
【何かツラいね…。それでいつなの?】
【明日だよ…】
【あっ‥あした…? 急過ぎるでしょ。何とかなんないの?】
【こればっかりは、私の力でもどうにもならないよ…】
【葵さんには伝えたの?】
【伝えなくても、見えてるからわかってるでしょ】
【そっか…‥】
【あっ…お母さん戻って来たみたいだから、またね。それともう1つだけ教えておくね。お兄ちゃんの好きな人…お兄ちゃんと葵お姉ちゃんの2人の未来を知ってるよ。じゃあね!】
「・・・・・」
亜季ちゃん…‥
それでだったんだ。
あんなにいつも一緒にいて、お互いの気持ちをわかり合っていたはずなのに、ある一定の距離を保とうとしていた…。
告白させないようにしていた…。
ハッ!?
人の気配を感じて振り返ると、葵さんと茉奈ちゃんの母親がドアの前に立ち、こちらを見ていた。
「葵さん…」
「茉奈ちゃんのお母さんが戻って来たので帰りましょう」
「あっ‥はい…」
それから、病室を出て1階の正面玄関まで3人で歩いた。
誰も口を開かず異様な空気が流れていた。
そして…僕の前を歩く茉奈ちゃんの母親は、僕に何か話したげな様子で歩いていた。
「紺野さん…」
それに気付いた葵さんは、僕から茉奈ちゃんの母親に話しかけるように、目で合図をしてきた。
「あの…‥」
「なっ‥何でしょうか?」
話しかけられるのを待っていたかのように、突然立ち止まり僕の方に振り返った。
「茉奈ちゃんの事で何か聞きたい事が?」
「茉奈は私の事、何か言ってませんでしたか?」
茉奈ちゃんの母親は不安と期待が入り交じった複雑な表情をしていた。
「どうして僕にそんな事を聞くんですか?」
「茉奈と話をしてたんですよね?」
話はしていたけど、母親の事は会話の中には出てこなかった。
「えぇ…。でも僕よりも葵さんの方が全然仲いいんですから、葵さんに聞いた方が…‥」
「佐藤さんにも言ってないんです」
葵さんを見ると、小さく頷いた。
「それより…茉奈ちゃんの能力の事、やっぱり信じてたんですね?」
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