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華は俯いたまま、握った拳を膝の上で震わせていた。
父に言われた「無駄」という言葉が、まだ胸の奥で重くのしかかっている。
その沈黙を破ったのは、律の低い声だった。
「……行きましょう。お父さんのところに」
「……え?」
顔を上げた華の瞳が大きく揺れる。
律は真っ直ぐに彼女を見ていた。
その瞳には迷いがなく、強い決意が宿っていた。
「このままじゃ、何も変わりません。
逃げていても、ずっと同じ言葉に縛られるだけです。
だから一緒に、ちゃんと向き合いましょう」
華の胸に、熱いものがこみ上げた。
(律さんが……私と一緒に戦おうとしてくれてる……)
震える唇で、小さく答えた。
「……はい」